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■HP蜘蛛夢■


(初版2004.5.17;微修正2020.4.14;更新2015.10.19)

右翼と左翼の精神構造はよく似ている




項目へジャンプ(はじめに大学攻撃フェミニズムや性教育攻撃・統一協会風宗教教育ファシズム風公安警察新自由主義風右翼モドキ参考:統一協会の影【文献・資料】


(追記:石原慎太郎は2012年10月に都知事を辞任した。13年余りの悪政であった。 12月の都知事選挙では石原都政で副知事を務めた猪瀬直樹が当選したので、 悪政が改められる見通しはないと思ったが、選挙で徳州会から金を受け取ったことが 明るみにでて辞任した。2014年2月の選挙では安倍政権の支援を受けた舛添要一が 当選した。この権力欲の強い人物が石原都政の悪政を改める意欲を持っているとは 思えない。石原都政の政策は明らかに何らかのブレイン集団が関わっており、これを 改めるには同規模の政策集団が必要である)

(追記:舛添要一は2016年6月に政治資金支出の公私混同により辞職した。 7月の選挙では自民党のタカ派政治家の小池ゆり子が当選したので教育問題に関する 大きな変化はないだろう。主力野党は最近2回の都知事選挙で知名度を過信した勘違い候補 に乗って敗けた。こういう勘違い候補は、当選の可能性があった宇都宮健児の 足を引っ張っただけだ。そもそも野党なら敗けた瞬間から次の選挙にそなえるべき なのだ。学習能力がない)

はじめに

●石原慎太郎らによる都立高校や都立大学などに対する干渉が激しい[24][25][60][61]。

強権的・独裁的な権力は右も左も考えることは同じである。 スターリン体制のソ連を風刺したと思われるオーウェルの小説『動物農場』を 思いおこさせる[7]。指導者(ブタ)が大衆(イヌ)の子供を母親から隔離して 自分達が支配するのに都合のよい道具になるように教育してしまうのだ。

●現在、敗戦前の日本の体制を理想とする人たちが連携して、 日本を昔に戻そうと教育への干渉を強めている。

この動きの一つが石原慎太郎を中心としたものである。 マスコミは石原新党だとか、総理にしてみたい、などと持ちあげてきたが トンデモナイことだ。

この活動は以前から組織的・計画的に行われてきたようだ[43]。 これらの人びとを何と呼ぶのが正確なのだろうか? 右翼、国家主義者、復古主義者、ファシスト、父権主義者、 天皇原理主義者、ネオコン(左翼から右翼への転向者)、統一協会、あるいは、 それらのいろいろな組み合わせなのかもしれない。 連携はしているようだが完全に統合してはいない感じがする。

石原慎太郎をヒトラーにたとえる人がいるが、 官僚批判や民営化や競争重視や宗教への 傾倒、偏見、妄言、攻撃性などを見ると、むしろブッシュ(Jr.)に近いかもしれない。 この問題発言をくり返す異様な人物に都知事の権力を渡した 『アホでマヌケな東京都民』の責任もまた重い。


大学攻撃

●都立の高等教育機関は都立大を含めて4大学(ある)あった。 青島知事時代から、統合しようといって大学関係者も含めて話し合って いた計画を石原慎太郎が破棄して、これらの大学を廃校することにしてしまった。 この50年間、いくつかの研究分野では、都立大学は日本の研究者を養成する重要な 拠点であった。

財政問題などの解決は誰も反対しない。 だから一般都民は、関係者の反対は単なる保身からだと誤解するだろう。

だが、必要なことのついでに問題のあることを強行してしまうのが この国の権力のやり口なのである。

その成功例は既に当事者により得意気に発表されている。 中曽根内閣の時に国鉄、電電公社、専売公社が民営化された。

赤字財政の解消が名目であったが、実は重要な目的は労働組合つぶしだった と中曽根康弘[45]や官房長官だった後藤田正晴[6]が明かしている。 その後の整備新幹線の建設状況は、財政問題が本気ではなかったことの傍証である。

(追記;2005/10/18)私は組合活動や国鉄とは全く無関係だが、当時、 組合員のJR不採用は明らかな不当労働行為だと思っていた。 2005年9月、東京地裁が旧国鉄の不当労働行為を認定する判決を出した[38]。

●石原慎太郎が新しく作るという『首都大学東京』大学の学部構成は奇妙である。 都市教養、都市環境、システムデザイン、保健福祉だという。 まるで専門学校である。

石原から大学改革の提言を求められた一橋総合研究所は 、当初、アメリカ型の大学院大学を提言した。 しかし石原は、それを受けいれなかった。

石原慎太郎はアカデミズムが嫌いである[8]。 美術の時間に明るい色は何かと教師に質問されて、『黒』と答えて 否定されたのに腹がたったようである。狭量な教師をアカデミズムの 代表にされては迷惑な話である。

現在のところ、都市教養・都市環境学部には都立大が割り当てられて、 システムデザイン学部には都立科学技術大学が割り当てられ、 保健福祉学部には都立保健科学大学が割り当てられているようだ。

短大廃止と都立大の人文系削減以外はあまり変化がないように見えるが、 任期制だから文部科学省から新大学の認可が下りたあとの体制がどのように変化 するか分からない。『首都大学東京』大学の学長になる 西澤潤一などの発言内容から考えると、現在の研究体制が維持されるとは思えない。

日本の大学が世界的に評価が低いのは、アカデミズム過剰だからではない。 日本の大学の理工系は欧米に追いつくために始めから実用に偏っていたのである。 明治時代に来た外人教師に、日本は科学の成果のみを受取り、その成果をもたらす 根本の精神を学ぼうとしない、などと批判されたのである。

(追記;2016/12/12)平成30年度(2018年度)に都市教養学部は再編されて人文社会学部、法学部、 経済経営学部、理学部になるそうだ。

(追記;2020/4/14)2020年4月より大学名が『首都大学東京』から『東京都立大学』に戻った。

●2000年2月、教育改革をテーマにしたシンポジウムで、 知事は突然『大学改革』を打ち上げた。 事務方への相談は一切なかった。 そして『都民の役に立たない研究はいらない』と発言した[9]。

同年4月には知事室を訪れた都立大の荻上紘一総長に、石原慎太郎は 大学教師は研究ばかりやりたがって困る、と批判して、 『研究をやりたけりゃ、研究所へ行けばいいんだ』と言った[9]。 大学が研究しなければ存在の意味がないことを理解していないようである。

石原慎太郎は人文系だけ減らそうとしていると思っている人がいるかも しれないが、実は自然科学よりも神秘主義やテレパシーや宗教のほう が重要だと考えている[10]。

『首都大学東京』大学の学長になる西澤潤一は『理論』が嫌いである。 曾野綾子・三浦朱門の『二次方程式(の根の公式)は不必要』という 発言に迎合して、学習指導要領改定の審議会で 『自分は数学を知らないし、それでもちゃんとトランジスタと 光通信に関するすべての発明をした』と発言したらしい[11]。

西澤潤一は『理論』より『経験』が重要だからと、『首都大学東京』で全学生に 就業体験を義務づけするという[12]。

中国の文化大革命時代の知識人の農村への下放みたいだ。ここでも右と左は似てる。 要するに他人を支配し、強制しようという精神構造が共通してるのだろう。

経験が重要だというのは本当である。しかし、お仕着せの『経験』を『全学生』に 強制しようという精神は歪んでいる。

●実用や経験を重要視して、短絡的に理論を軽視するのは実は右だけでなく左もそうなの である[26]。

ソ連ではスターリン時代に、メンデル遺伝学は観念論であり 食料増産の役に立たないと批判して遺伝学者を追放したり、処刑したり、収容所に入れたりした。 コムギの『実際に役に立つ』研究をしているとしてスターリンに気に入られた イカサマ学者ルイセンコが農業アカデミー総裁になった。 そしてソ連の遺伝学は崩解した。 それ以前には世界的なレベルの遺伝学者がいたのに。

スターリン死後に、ルイセンコの批判が始まり、フルシチョフ失脚の後でルイセンコの 権威は剥脱された。しかし1976年に死ぬまで大規模な試験場の所長の地位を保っていた という。

蛇足になるが、革命前のロシアには、反資本主義的な思想を持ち、 細胞や遺伝子の研究を役に立たないと批判した有名な小説家(!)がいた[51]。

小説家でデビュ−した石原慎太郎は都知事として都立大学を視察した際に 理学部生物学科で説明を受けた小柴共一さんの乾燥に強い植物の研究に興味を示した。 外国に特許をもっていかれないようにと激を飛ばしたという[2]。

(石原が)『芝で研究すればゴルフ場が喜んで金になるぞ』、とアドバイスしたら、
(小柴氏は)『そうですね』と返事したらしい。
(石原は)『(俺が)言わなきゃ分からないんだ』と堺屋太一に 自慢していた[15]。
スターリンも専門家より物事を理解してるつもりだったらしい[26]。

小柴氏の研究室の情報を都立大のWEB頁で見てみると、ここは応用研究ではなく、 主に植物ホルモンの作用機構に関する基礎生物学的な研究をしている場所である。

小柴氏はルイセンコのようなイカサマ学者ではないので、 石原慎太郎の改革案に明白に反対表明している[1]。

新大学が掲げる『都市環境の向上』、『ダイナミックな産業構造をもつ高度な知的社会の 構築』、『活力ある長寿社会の実現』という目標に対して、 小柴氏は『これは、行政の目標だ。大学は、あくまで学問の研究を進めるところだ』と 批判している[13]。

●首都大学東京大学になる以前に、既に都立大学では傾斜配分が始まるという。 合理的な理由がありそうな名前ではあるが、実態は、石原慎太郎に協力しないと 研究費を出さないという脅迫である[35]。学問の発展を無視した悪質な権力行使が始 まっている。

●マスコミの都立大学問題についての感度は非常に低い。 例えば、朝日新聞[32]は、サブ見出に「ミニ国立大に限界」などと付けた。

この件は都立大学に問題があるから始まったことではない。石原慎太郎や右翼の 思想が背景にある活動である。

朝日新聞は東京都のやり方が強引だと批判する一方で、 都民の必要とする大学になっていない大学側にも責任がある などと書いている[32][33]。

野田一夫の「強引な改革に都民から不満の声が出ないのは都民に 必要な大学になってない」という言葉を引用しているが[32]、 ありえないほど高すぎるハードルである。

どんな大学だろうと、同じような状況に置かれたとしても、 一般の人が関心を示すことは期待できない。それよりも外部の学会や 専門家が危惧を表明していることに注目すべきなのだ。

朝日新聞は、東京都が都立4大学へ年間140億円(も)支出してると書いているが[32]、 東京都の財政規模は書いていない。

縮小した平成16年度予算でも合計で12兆5736億円。 一般会計だけでも5兆7080億円。大学への支出は一般会計の0.245%である。

そもそも、新しい首都大学東京はどれらいの予算規模になるのか? これは財政問題ではないし、首都大学東京なんていうものを都民は要求したことはない。

西澤潤一[32]は、 「都と都立大の対立についてどうみますか」という記者の質問に: 「都職員は大学教授に慣れておらず誤解が生まれたのだろう。 反対している先生とも話をしたい。」と答えているが、 首都大学東京は新しい大学だから大学側との対話をする必要はない、 と西澤が自ら対話を拒否したことは、インターネットで調べたら すぐ分かることである。そんなことも朝日新聞は書いていない。

右翼メディアから、朝日新聞は左翼の機関紙みたいに思われて攻撃されているが、 私は、右翼が朝日新聞について左翼的だという部分は多分オマケであり、 この新聞の本質だとは思っていない。

朝日新聞は勝共連合と関係があった右翼の黛敏郎を抱えこんでいたし、 最近の経済気象台という匿名コラムには『公益の軽視』、『個と全体の調和』、 『日本の精神』、『国という意識』、『秩序感覚の喪失』などという 右翼メディアによく出てくる言葉が踊っていた。こんな風だから都立大学問題への 感度も低いのだろう。

●日本の新組織は既存組織のスクラップ&ビルドという手法で作られることが とても多い。しかし、これは妥当な場合とそうでない場合がある。

概念が違う大学を作るような場合には妥当ではない。既存組織にいる者は今まで 機能していたことを護ろうとして抵抗するし、新しいものを作ろうとする者は 思うように進まず不満である。だから力ずくの無理が行なわれて道理が引っ込む。

小規模な大学なのにノーベル賞授賞者をたくさん出している カリフォルニア工科大学(カルテック)のマーカス教授によれば、優れた大学をつくるには 最初から非常に才能のある研究者だけ集めて大学を作るのがたやすい方法だという。 カリフォルニア工科大学はノーベル賞学者のミリケンなどがヨーロッパから適材を 探してきて作ったという[49]。

首都大学東京では逆に近代経済学の優秀な研究者が逃げだしてしまっている。 実用重視による短絡的な研究軽視、理論軽視が訂正されないなら、ポストが 見つかりしだい優秀な研究者は出ていくだろう。

東京教育大学のスクラップ&ビルドで作られた筑波大学には、 アメリカ型の大学を作ろうという一面があったらしいが失敗したという[50]。 抵抗した者が悪いというよりも、抵抗が生じるのが当たり前の方法をとった ことが間違っていたのだ。

(追記;2007/8/23)首都大学東京の痛ましい実態は、『世界のどこにもない大学』(都立の大学を考える都民の会/花伝社/2006年)に書かれている。研究費は削られ、教員は転出し、現場の大学教員には大学の方針決定へ関与する仕組みがないので状況の改善もしにくいという。

●保守、右翼のボキャブラリーは貧困である。 自分が嫌いな相手の思想は全て『マルキシズム』だと言い切る。

以前、日曜午前のTV報道番組で、高速道路の民営化に反対する道路族の 議員が、民営化を主張する猪瀬直樹を共産主義者だと言って批判してい たのには呆れた。論理的に言えば逆じゃないか!

毎日新聞[13]によれば、

知事に近い都幹部の一人は『都立大は伝統的に左翼勢力の影響力が 強いといわれており、都の意向が届きにくかった。知事の本意は、 都の行政目的に貢献する新大学をつくることにある』と打ち明ける。
かなり以前、わたしの近くの市議会議員か市長の選挙で、自民と民社の連合候補が、 学校から共産主義者を排除すると演説していた。 思想信条の自由を認めないのかと呆れたが、実効性はないだろうと当時は思っていた。

どうやら中曽根康弘の方法を参考に石原慎太郎たちは、思想統制を始めたのでは ないかと想像される。

石原に同調している『國民新聞』という右翼のWEBサイトには都立大が 共産党の巣窟などと書かれている[56]。もちろん、共産主義者はある程度の率で いるだろうが、都立大が共産党の巣窟なんてことはない。

少し共産主義者がいるからと、都立大を潰すのを認めるならば、 仮にオウム真理教や赤軍派の存在を根拠にブッシュ(Jr.)のアメリカが日本を テロリストの巣窟だといって爆撃したとしても、 それを認めなければならないだろう。


フェミニズムや性教育攻撃・統一協会風

●右派からはフェミニズムもマルキシズムだという主張がなされている[4]。 石原慎太郎と右翼都議の土屋敬之などと都教育委員会と産経新聞が連携して フェミニズムや性教育を攻撃している。

都立七生養護学校では保護者と相談しながら 性教育が行われていたというが、実際の授業をみることもなく不適切だと 攻撃されて、校長や教員が処分された[1]。産経新聞は、 アダルトショップみたいだと批判したのだが、デッチアゲの疑いがある[48]。

マルクス主義者がフェミニズムを主張したことがあるからといって全ての フェミニズムをマルキシズムに押し込めるのは無理である。

フェミニズムの中味は多様である。なかには変なのもある。 物事の一面しかみない考え方で、とても同意できない例もある。 生物学的側面にあまりにも無知で無頓着であるように感じる例もある。 生物をとりあげる場合でも不適切な例を出して批判されたりしている。 以前からTVのバラエティー番組に出演している学者の田嶋陽子などは極端な ことをいうので、まるでフェミニズムのカリカチュアみたいだと思っていた。

右よりのマスコミはジェンダーフリーの概念を批判して、 男女共同参画法による異常な教育がされていると報道している。 本当だろうか。右や左ではないジャーナリストによるこれらの報道の検証が望まれる。

例えば石原慎太郎は、ジェンダーフリーの教育では、 中学生の更衣室を男女一緒にして異性の裸を見ても何も感じないように していると紹介して、批判してる[5]。

ちょっと信じられない。 本当に、こんな変なことがあるなら、具体的に批判したらいいと思う。 そこまでするようには男女共同参画法には書いてないだろう。

この裸の件については、トンデモナイのは何でも左翼だ、 と言いたがる人たちに見せたい写真がある。 昭和17年ころの新潟県市之瀬国民学校の教室風景である[3]。 学童が上半身裸で勉強している。男子の顏つきはまだ子供だが、女子は 既に乳房が十分に発達している。国民学校の指導要綱にもとづくものだという。 現代ではありえない風景だと思うのだが。

週刊誌での曾野綾子との対談では、石原慎太郎は、『性教育をやりすぎるのは けしからんというなら、どの段階でどこまで教えるのが妥当なのか、きちんと代案を 出していうべきでしょうね』と言っている。

これは一応まともな意見のように見える。 性教育を攻撃するやり方に問題があると言ってるように見える。 しかし、性教育を批判しているのは、 七生養護学校処分の例のようにジェンダーフリーを攻撃している側なのだ。 石原慎太郎の理解力には重大な欠陥があるのではないかと疑ってしまう。

問題になった『ババアは有害』発言も、惑星科学者の松井孝典との対談から引用した らしいが、石原はかなり意味を歪曲して発言していたらしい[14]。

石原は専門家の非専門的な言説(惑星科学者ですよ!)に歪曲を重ねた引用や、 根拠の疑わしい事例を元に議論を進めることが多い。 信用できない言葉を大量に排出していることに都民は気づくべきである。

(追記;2004/5/25)都教育委員会は、学校に性教育の手引を配布したという[16]。 ペニスやワギナという用語を使うなということや、小学校では性交を 教えるなという、今まで右派や統一協会が性教育を攻撃していた内容を現場に命令する だけで、現場と相談・検討するなんていう気は全くないようである。男子なら小学4年生 くらいで射精を経験する者も出てくるのに。

(追記;2004/6/30)朝日新聞[39]によれば、ジェンダーフリーによる教育で 更衣室を男女一緒にしているという石原や右翼メディアの報道はやはり嘘だったらしい。 単に、更衣室のスペースがなくて、教室利用を時間差にしたり、カーテンで区切ったり した、ということらしい。しかも、こういう状況を最初に問題にして改善したのは、 右翼ではなくジェンダー問題に敏感な教師だったらしい。

教師の指令で男子と女子が裸を見せるなどということは、 軍国主義下の日本とか石原慎太郎の頭の中の妄想にしかないことだろう。

朝日新聞の記事が出た後でもマスコミはジェンダーフリーによる男女共通の更衣室 というヨタ話をたれ流している。しかも、中学ではなく高校に変わったりしている。

(追記;2006/7/7)文部科学省は2005年度の全国の小中高を対象に男女混合の 実施状況を調査した(東京新聞、2006年7月2日)。

小学生では着替えの同室は皆無という状況ではないらしい。 この記事では詳細が触れられていないので、時間差なのか、 同室でも下着や裸を見せない工夫があるのかないのか不明だ。

男女混合の騎馬戦は少し詳しくて、理由も書かれている。

(1)小規模校で男女のバランスが悪い。
(2)以前から男女混合。
(3)学校全体の団結力を高める。

ネットの書き込みによれば小学校での男女同室の着替えというようなのは、 ジェンダーフリー出現以前からあるようだ。むしろ地方の保守的な 教育風土での質実剛健主義あるいは貧弱な教育施設などが背景にあると思われる。

(追記;2007/10/9)「戦時中、群馬の小学校(国民学校?)で乳房が膨らみかけた学年になっても、鍛練のためと、上半身裸で授業を受けた日もあった。今になると恥しい」と投稿している75歳の女性もいる(朝日新聞、2006年10月16日)。大昔のことでも証言や写真や固有名詞が出てくるのに、右翼が宣伝するジェンダーフリー教育で中学生や高校生の更衣室を男女一緒にして裸を見ても感じないようにしているという話には具体的な事が何も出てこない。

(追記;2008/2/27)性教育の在り方をめぐり、東京都議会で一部議員から問題視された都立七生養護学校の元校長が別件で停職1カ月とヒラ教諭への降格の処分を受けたのは不当だとし、都に処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は処分の取り消しを命じた(東京新聞、2008年2月26日)。

(追記;2009/3/12)七生養護学校の性教育に関して、「都教委や都議から不当な介入を受けた」と教師や保護者が訴えた裁判で、東京地裁は「当時の教育は 学校指導要領に反するものだったとは言えない」とした。「教師への厳重注意処分は 妥当性を欠く裁量権の乱用」として、都や都議に対し総額約210万円の支払いを命 じた(TBSテレビ、2009年3月12日)。左翼による過激な性教育がなされている と、右翼メディアは騒ぎたてたが、具体例として彼らが探しだしたのが七生養護学校で あった。そして、その実態はこのような判決がでるようなものだったのである。 嘘と妄想が満ち溢れる右翼メディア。その被害を受ける人達が痛ましい。

(追記;2008/10/29)江戸時代、日本の共同浴場は混浴であった。開国を要求したペリーなどに「不道徳だ、淫蕩だ」などと言われて明治政府は混浴を繰り返し禁止したが、明治末まで混浴はなくならなかった(NHK教育テレビ、2008年10月23日)。伝統を重視するのが右翼ナショナリストならば、男女共同更衣室どころか混浴の復活を主張すべきなのである。

(追記;2010/9/6)アナウンサーの大沢悠里(1941年生まれ、浅草出身)は小学6年 まで、銭湯で女湯に入っていたと話した。同じクラスの女の子と一緒になったこともある という。歌手の“さこみちよ”(1956年生まれ、大阪出身)も小学校5年生まで男湯に 入っていたと話した(TBSラジオ、2010年8月27日)。少し前までの、日本人の 意識をよく示していると思う。

(追記;2014/8/5) 都立七生養護学校の性教育を非難した都議らの行為を「不当な支配」と認定した 判決を最高裁で確定した後も、都教育委員会は、同校の実践を「不適切な指導」と 切り捨てている。都教委の「性教育の手引き〜盲・ろう・養護学校編」の 「『不適切な指導』の事例と考え方」には、七生養護学校の性教育で実践された ものが例示されている(東京新聞、2014年7月18日)。法治国家ではない日本。

●過激派フェミニストの異様な言論は批判されるべきである。 しかし、フェミニズムはなんでもマルキシズムだと言い切るような極論も 批判されるべきである。まして実態を調べずに、キメツケやデッチアゲで 教育関係者を処分するような政治状況は論外である。

レッテル貼り、嘘と誇張、非難の合唱、そして強権発動という方法は やはり右と左の極論者でよく似ていると言えるだろう。 フェミニズムに関しては、イデオロギー闘争を前面に押し出すのではなく、 現実にある理不尽に対処するという態度が必要ではないかと思う。

(追記;2006/8/31) 『諸君!』(2006年8月号)に見られるように、現在の日本の右翼学者は 「新しい歴史教科書をつくる会」内部での勢力争いで怪文書騒ぎを起こすくらいだから、 世の中や教科書に嘘や誇張の言論をまき散らすのは平気でやるだろう。

(追記;2017/3/28) 初期フェミニストのウルストンクラフト(1759〜1797)の出現はマルクス(1818〜1883) よりも先である。

●右翼学者は日本のフェミニズムについて、夏休みに外国で仕入れて来る などと悪口を書いているが、石原慎太郎を押す右翼学者のお手本も欧米にある。 イギリスのサッチャーも右翼の重要なお手本の一人である[36]。

サッチャーの政治の実態がどんなものであったか、当時 イギリスの大学にいた近代経済学者の森嶋通夫が批判的に書いている[37]。 サッチャーが大学を左翼の巣窟なんていうのも日本の右翼学者の言論とそっくりである。

森嶋はマルクス経済学者との対立から京都大学を辞職した人であり、 最近の著作では、過去の日本では上からの資本主義に儒教道徳が役立った と書いているくらいの人だから左翼ではない。

そして、今の日本で、下からの資本主義に必要な のは自由主義、個人主義、民主主義だと主張している。 現実の日本はエセ自由主義、エセ個人主義、エセ民主主義であり、 国家主義が揺り戻すかもしれないと右翼の台頭を憂いている。

右翼学者は、サッチャー流の二元論で、世の中に右翼と左翼だけしかいないように 言うが、こんなのを信用しては駄目。

(追記;2006/10/6)外国を参考にする場合にはその前提が日本と同じであるかどうか 検討すべきである。

今、日本はサッチャー流の市場主義・新自由主義に影響された 政治家が勢力を持っている。しかし、イギリスは政権交代が何度もあって労働党が 強く、昔から福祉政策は進んでいた社会だ。日本は自民党が圧倒的に強く、 労働運動はジリ貧で福祉政策は遅れていた国である。

スティグリッツの『入門経済学』(1993)に引用されて いる先進工業国の政府支出のグラフ(OECD、1991)を見ると、日本の政府支出の GDPに対する割合は最低なのだ (支出の内容が適切かどうかという問題はあるが)。

(追記;2006/10/6)アメリカのキリスト教右翼による反フェミニズム運動は 1980年代から盛んになった。高橋史朗は1980年代のアメリカ留学中にこの運動を知り、 これを日本に導入した可能性が高いという[55]。

しかし、日本は男性優位の社会で欧米に比較して女性の社会進出は今でも 遅れている国である。世界経済フォーラムの報告では日本の女性の社会進出は 56カ国のなかで38位だという(東京新聞、2005年4月28日)。

●右翼や左翼の文献を読むのは欝陶しい。私は、都立大学の問題が 出てくるまで、このような文献に眼を通すことはほとんどなかった。そのために、 この文章を書き始めた時点では、右翼が過激派フェミニズムを攻撃するのは、 まあ理解できないわけではないが、七生養護学校の性教育などをこれほど攻撃 するのは何故だろうと思っていた。

調べたら、実は性教育への攻撃は最近始まったのではなく、1992年から 統一協会に関係した学者の高橋史朗などによって始められたという[41]。 性教育への攻撃は『性』が教義の上で重要な意味を持つカルト宗教が背景 にいたからなのだ。

※《高橋史朗は、元は、戦前からの宗教右翼団体である「生長の家」で活動してきた。 参考:『天皇を愛する子どもたち』(林雅行/青木書店/1987)》

霊感商法[57]で悪名高い統一協会(宗教法人世界基督教統一神霊協会;統一教会) は多数の関連団体を持っている。 保守系の政治家を取りこむための『勝共連合』 (選挙運動や秘書で政治家にサ−ビスを与えたりした)や、 学生を取りこむための大学サ−クルの『原理研究会』や、 学者などを取りこむための『世界平和教授アカデミー』もそれらの組織の一つである。

中曽根康弘元総理大臣も、統一協会の集団結婚式にメッセージを送るなど しているし、統一協会に関係した学者の高橋史朗は中曽根の臨教審の専門委員 であった。

かつて、世界平和教授アカデミーは元筑波大学学長の福田信之が活動の中心であった。 筑波大学も、東京教育大学の移転統合問題だったのが東京教育大学の廃止に なってしまって、作られた大学である。それによって管理者側の権限が大幅に 強化された。幹部教員群は統一協会の文鮮明、勝共連合と結びつき、 原理研究会の組織が活動していたという[42][50]。

ネット情報によれば首都大学東京の学長になる西澤潤一も世界平和教授アカデミーに 関係があるらしい(世界平和教授アカデミーの雑誌『世界平和研究』に 何度も書いている)[44]。

※《韓国原産の統一協会は、米国の右翼団体やキリスト教原理主義とも関係が深い。 別項参照》

●石原都政は、異常に『性』問題に熱心であった。 2010年3月、青少年健全育成条令改正案で性表現の規制を こっそり滑り込ませようとしたが、気が付いた人々が抗議の声を上げたので、 先送りになった。その改正案では非実在少年という新語をつくり、 18才未満と判断できる架空の登場人物が登場する漫画やアニメーション、ゲーム などで、その架空人物を「性的対象として肯定的に描写することで青少年の性に関する 健全な判断能力の形成を阻害する」作品は規制の対象となると明記された。 児童ポルノ単純所持禁止の項目も盛り込まれている。

東京新聞(2010年3月17日)「こちら特報部」の記事で、藤本由香里は 取材に対して次のように答えた:

「すでに現行条令で『著しく性的感情を刺激』する漫画が『不健全図書』に含まれて いる。野放しにされているとイメージをつくり、別の規制を意図しているのでは」 「統計上は幼女への性犯罪は1960年代と比べ、激減。諸外国と比べても少ない」
児童ポルノ(というが実は異常に定義が広すぎる)の単純所持禁止を求める動きは、 自民党連立政権時に進められていたが、政権交代で進行は中断している。 これを求めている勢力は、タレントのアグネス・チャンを「顏」にした日本ユニセフ 協会である。中立的な団体だという印象をもつかもしれないが、 「ECPAT/ストップ子ども買春の会」というキリスト教系の団体が密接な関係を 持っている。この団体は従軍慰安婦などの歴史問題では左翼系と親和性が高いという。 児童ポルノ規制では共産党も積極的らしい[63]。 統一協会と違って左翼に親和性がある団体だから米国とは関係がない、 という判定はできない(例としては、かつての民社党がある[65])。

実際、この件について、キリスト教原理主義と関係が深いブッシュ(Jr.)政権時の シーファー駐日大使が読売新聞(2008年1月30日)に寄稿したりした。

シーファー大使は「オンラインで児童ポルノがばらまかれている」と言う。 そして、それは「多くは12歳未満の児童のレイプなのだ」という話であった (沖縄の米軍・海兵隊によるレイプ事件を忘れ去り、日本に責任があるような主張を した)。

私は、それが本当かどうか確認できない。私は有料サイトやファイル交換ソフトを利用 しない。それを利用しない範囲では、シーファー大使が主張するような児童ポルノを ネットで見つけるのは困難である。もちろん普通の店などでは売っていない。 日本には、成人の女優が未成年を演じて性行為を描写する映画やAVなども少なくない が、彼らは果して区別できているのかという疑問も生じる。まして、人権侵害とは関係 のない架空の人物のセックスを取り締まることに執着しているのは、結局、実在の児童 の保護なんか本気ではないのだろう。これはキリスト教勢力による「文化戦争」なので はないだろうか。ECPATは音声や文章も規制対象にしたいと考えている[64]。 ひどい現実があるというイメージを形成して政治的主導権を得る米国の情報戦の手口 は、湾岸戦争の後から見えてきた。

『「NO」と言える日本』という本を出した石原慎太郎であるが、実際は外国勢力の 手先たちに使われているだけである。

東京新聞(2010年3月17日)には示唆的な記事があった:

ドイツでカトリック聖職者による少年への性的虐待が相次いで表面化。 発覚したのは今年1月。ベルリンのイエズス会系学校で1970〜80年代、 複数の神父によって多数の生徒が被害を受けていたことが分かった。
藤本由香里の発言を参考にして考えると、 この記事は、性表現および裸体表現に関して、人間の本性を無視したキリスト教的な 過剰規制をすることが社会に何をもたらすかを示しているように思う。

※《藤本の発言と関連する性犯罪数の推移のデータは山本弘のブログにある[66]》

※《児童ポルノ規制を口実にした性表現の過剰規制に統一協会も同調している[64]》

※《ここに引用したドイツのベルリンの学校の他にも、欧米の教会運営の施設では、 長年に渡り神父や尼僧による未成年者への性的虐待が多数あったことが最近発覚して いる[67]。しかも発覚したのは氷山の一角とみられている》

(追記;2010/12/10)東京新聞(2010年12月8日)「こちら特報部」によれば: 東京都青少年健全育成条例改正案が再び、12月議会に提出された。今回は「非実在」が 消え、強姦や公然わいせつなど刑罰法規に触れる性的行動や近親相姦の表現が規制対象 に挙げられた。山口貴士弁護士は「規制対象が拡大している。架空の人物が成人でも この規制にひっかかりそうだ」と指摘した。規制対象を「不当に賛美」「誇張」した 表現に限定するとしている。しかし、客観的な尺度などない。石原慎太郎知事は3日、 改正案に関連し「テレビにも同性愛者が平気で出ている。日本は野放図になり過ぎて いる」と述べた。

※《同性愛を倫理の問題と考えるなんて、石原慎太郎の人間観はアメリカのキリスト教 原理主義者と同じである。石原の言う野放図が、テレビに同性愛者が出る、 程度のことならば日本は野放図で全く構わない》

※《スピード違反をすると警察に捕まるが自動車に乗ることは違法ではない。 公然わいせつ罪は違反となるスピードが決まっていないような法律であり、 今まで警察が極めて恣意的に適用してきた。例えばストリップショーは公然わいせつ罪 で摘発されることがあるが、自動車レースのサーキット場でスピード違反を取り締まる ような馬鹿ばかしさがある。TVの深夜ドラマでストリッパーを肯定的に描いていた佳作 があった。ストリップを「賛美」した表現をしたい作家はいるのである。 こういうTVドラマの原作はマンガであることが多い。条例の改正案の解釈しだいでは、 これらも警察の気分しだいで規制される可能性がある。 可能性があるだけで流通やメディア側が自主規制すれば作家は場を失う》

※《東京新聞(2010年12月9日)によれば、自主規制団体の意見を聞く手続があるから、 行政の恣意的な判断が入らないと都側は言っているようだ。日本の行政に対する チェック機構は、あっても形だけで実際は機能しない場合が多い。ちゃんとやっている フリをするのである》

(追記;2010/12/13)この条例改定を推進している都青少年治安対策本部の倉田潤本 部長は、2006年の志布志冤罪事件当時の鹿児島県警本部長だったという[68]。

(追記;2010/12/20)腰のすわらない民主党が賛成に回ったので12月15日の都議会 で改正条例が成立した。この動きの背後にあるものを思い返せば、これは単なる入口で はないかという疑いがある。

(追記;2010/12/20)シンポジウム『ポルノ被害と子どもの貧困』(11月28日)で、 児童ポルノの単純所持禁止を求めている日本ユニセフ協会広報室の中井裕真は 「児童ポルノは、子どもに対する性的虐待という犯罪の現場を写した写真や動画」と しながら、質問に対し「児童ポルノ規制はバーチャルなものを含むものと考えている」 と答えた[69]。こういうのを二枚舌と言う。

(追記;2013/2/4)警視庁は1月、歌舞伎町のストリップ劇場を公然わいせつ罪 で摘発した。「オリンピックが開かれるかもしれないのに日本の恥だ」という匿名の 相談(通報?)があったからだという。このニュースについてパトリック・ハーランは、 ロンドンでオリンピックをやったが、見事なストリップ劇場がいっぱいあって、 そのツアーを組んだプログラムもあった、とコメントした (TBSラジオ、2013年1月31日)。 ストリップ劇場の存在を認めないような極端な思想を持つ人と一緒になって、 恣意的な摘発をして罪もない人たちの生活を抑圧するのは警視庁の犯罪である。 一方で、オリンピックの女子柔道チームの監督が暴力的指導(パワーハラスメント) をしたために選手から告発されて、世界に日本の恥をさらしたが、この監督が所属 するのは警視庁である(東京新聞、2013年2月2日)。

(追記;2013/8/25) 「全米反検閲連盟」の役員スベトラーナ・ミンチェバ氏は 「西洋の児童ポルノ規制の背景には、性への抑圧的な宗教文化が影響しているが、 日本は違う。日本が独自性を捨てて西洋化を目指す必要はない」と語る(東京新聞、 2013年8月19日)。自民党は伝統文化の尊重を主張してきたが、児童ポルノ法改正で 西洋化を目指している。彼らの愛国心のいかがわしさを示している。

(追記;2013/9/8) アメリカ在住の人に日本から知人が男の赤ん坊の裸の写真付き年賀状を送ったら、 幼児ポルノ写真所持の罪に問われると言われたという(東京新聞、2013年9月3日)。 日本人が児童ポルノと思わないものを彼らは犯罪にするのである。


宗教教育

●西澤潤一は 『あたらしい教育基本法を求める会』の会長でもあった。 彼等の提唱する新しい教育基本法の案では宗教が重要視されている。

宗教ならなんでもいいのだろうか。 オウム真理教も宗教だと言える。 人によっては共産主義も宗教に分類する[18][19]。

彼等も宗教ならなんでもいいのではないだろう。 本当は国家神道だといいたいのだろうか。 仏教だって敗戦前のように国家神道のもとにおきたいのではないか[21]。

宗教がないから殺人が行われるという主張は馬鹿馬鹿しい。

しかし、彼等の教育勅語の現代語訳は変である[17]。 教育勅語の核は天皇なのに極力避けている。 真正の天皇主義的な右翼なら、こんな訳は許せないだろう。 右翼といっても、色合は様々なようだ。

天皇抜きの国家主義はありうる。だが、それなら靖国神社や君が代や教育勅語 に、これほど執着するのは何故だろう。

自民党の改憲案では憲法の政教分離を廃止するらしい[27]。 狂気!

●右翼は宗教教育をすべきだと主張するのだが、 以前から奇妙だなと思っていたことがある。

例えば、西澤潤一が会長で高橋史朗が事務局長であった 『新しい教育基本法を求める会』によれば、 「個人の生命をも越えた、大切なものがあるという意識のもとに祖先が 守り伝えてきた様々な徳目が教えられる学級運営を期待します」 と書かれている[17]。

「大いなるものに対する畏敬の念」、という言葉もしきりに使われる。 この宗教的概念は既に学習指導要領に入り込んでいる[46]。 単にアニミズムを教育しようという主張のように見えるが、 右翼の主張だから、アニミズムから天皇神格化につなげるつもりかなと思っていた。

しかし、なぜ直接、天皇崇拝が必要だと主張しないのだろう。 これらの主張をする者たちの人脈を考慮すると、ある疑惑が生じた。

たとえば、統一協会の関連組織の『東西南北統一運動国民連合』のブックレットに 載っている世界平和教授アカデミーの福田信之の談話には、

家庭崩壊の原因は、セックスがたのしみの対象になってしまったためですね。 子孫を殖やしていくという、神様から与えられた大切な機能だという ことを忘れて肉体的快楽の対象にしてしまったことです。 それを防ぐのは宗教であり、超人間的な存在に対する畏敬の念 が必要じゃないかと思います。(一部省略)
という内容があるという。 これは統一協会の「原理」に整合する[41]。 つまり、右翼の教育基本法の改正案には統一協会の教義が忍びこんでいる。

学校で、もし統一協会の教義に近い宗教的な教育を子どもが受けて育てば、 後になって統一協会のようなカルトが彼等を餌食にするのは容易だろう。

(追記;2005/12/5)高橋哲哉『教育と国家』講談社現代新書(2004年)によると 「大いなるものに対する畏敬の念」というのは1936年に遡る背景があるという。 敗戦前の超宗教としての国家主義的な神道体制のキイワードだったらしい。

(追記;2008/12/4)統一協会系の京大名誉教授・渡辺久義は、進化論を教えると 「生命の根源に対する畏敬の念」がはぐくまれないから、日本でもID理論 (インテリジェント・デザイン)を教えるべきだと主張した (産経新聞、2005年3月26日)[59]。ここで渡辺が「畏敬の念」を持つべきとする 「生命の根源」というのは神道の諸神ではなくキリスト教の神のことである。

ID理論とは、政教分離が裁判で確定したため、公立学校で理科の時間に聖書の 天地創造論を教えられなくなったキリスト教原理主義者たちが、天地創造論を 知的な存在(インテリジェント)が生物をつくった(デザイン)と言い換えて、 公立学校の理科の時間に教えさせようという米国特有の運動である。

●右翼宗教勢力は、宗教教育をしようとしている。では、日本での 宗教信者はどれくらい存在しているのか。

東京新聞(2005年2月13日)が引用している神社本庁 (「庁」がついているが右翼的な民間団体)のアンケート調査によれば 宗教を信じない人は52.6%、仏教は33.0%、神道は4.2%、 キリスト教は1.2%である(2001年、20歳以上の男女1400人、面接聴取)。

國學院大學21世紀COEプログラム(日本人の宗教意識・神観に関する世論調査) のネット上の情報によれば、 信仰とか信心を持っていない人が70.9%で、持っている人は29.1%である。 信仰の中味は、仏教が77%、神道が22.0%、キリスト教7.7%である (2003年、20歳以上の男女2000人、回収1417人、面接聴取)。

読売新聞(2005年9月2日)によると75.4%の人が宗教を信じない (有権者3000人、回収1798人)。

宗教教育の強制は、政教分離の原則に反する。現在の不適正な選挙により権力を持った 右翼宗教勢力による、日本国民の主流派である無神論者への政治的抑圧である。

※それにしても、調査主体が宗教に関与する程度とアンケート結果との対応は明白である。

(追記;2006/11/11) 人間と金が集まると社会的な力が生じる。 だから人間の集合が政治をゆがめることがある。そういう団体は多数あるが、 宗教勢力は自分の敵を悪魔扱いしたりして、目的のためなら手段を選ばない というような狂気を持ちやすく、警戒が必要である。

●『新学習指導要領をのりこえる』教育科学研究会・山住正己・梅原利夫(編者)1989年 によれば、この時の学習指導要領改訂では「畏敬の念」や「宗教的情操」を強調した 反面、以下のようなことの削除が見られた。

小学校「道徳」では、「ものごとを合理的に考え」という内容(現行の一四)を抹消 している。

この一四の括弧書きのなかにあった「真理を尊び…正しく批判し判断して」 ということばもなくしてしまった。

日本が第二次世界大戦で崩壊したのは、天皇にたいする「畏敬の念」が不足 していたためではない。 「ものごとを合理的に考え」ることができなかったから負けたのである。

この国は歴史上、同じようなことを繰り返して来た。 無知による過剰な自尊心で、強大な外国に対抗して負ける。 負けてから、ようやく学び始めるが、ちょっと出来るようになると、 もう学ぶことはないと、また自尊心の急激な肥大が始まる。

いわゆる右翼ナショナリストが望む、敗戦前のような『神国・日本』の 教育体制の復活が実現すれば、この繰り返しの再開になるだろう。

(追記;2006/10/9)『科学』2006年9月号は疑似科学を特集している。 その中の菊池誠による紹介によれば、かなりの数の小学校の道徳で、 単なる水が結晶するときに人間の言葉の影響を受けると教えられているそうだ。 これは「波動」という疑似科学から派生したものであるという。

菊池は、小学校教師の理科の素養が足りないというよりも、 問題はもっと深いところにありそうだと書いている。


ファシズム風

●都立高校では日の丸・君が代が『逆踏み絵』にされている[20]。 音楽教師にはピアノ伴奏が命令されている。 各学校に監視が配置されて起立しなかったり、 演奏拒否すると最終的に解雇されてしまう。

共産主義者でなくても、君が代の歌詞は民主主義と整合しないと考える人間 には苦痛だろう。

主幹制などで教員への上意下達の仕組が完成して、強化された人事考課制度を武器に、 式典だけではなく日常的に教師の思想統制が進行しているようである[24][48]。

石原は子供の個性・感性を常識という枠にはめないで大切に育てていただきたい、 と公立学校長を相手に演説したという。しかし、ガチガチに管理・強制された教師に そんなことができるのだろうか。

都教育委員会は式典の君が代で起立しない生徒がでたら担任や 校長を大量に処分した。こういう周辺処分という方法による強制は戦前にも行わ れたという。異様なことだと外国人には思われたらしい[30]。

都立高校だけではなく、国立市の公立小中学校では右翼の街宣車 や銃弾と連携して都教育委員会が正にファシズムの手法で強制を 実行していることが報告されている[28]。

●首都大学東京大学では全寮制にするという。 それは学生の勉学や経済的な悪条件や地理的な悪条件に対応するためではなく、 思想統制のためであるらしい。

石原慎太郎に近い亀井静香も、18歳をすぎたら親から隔離して 全寮制の学校に入れるべきだと主張している。親には教育を委せられないと。 まさにオーウェルの『動物農場』じゃないか。 曾野綾子[5]や中曽根康弘(テレビで見た)など、 右翼で全寮制を主張している人は多い。

18歳にもなれば洗脳されないと思うかもしれないが、 オウム真理教やタカ派政治家を輩出してる松下政経塾も全寮制であることを見ると 安心はできない。少なくとも、国家主義的な儀式の強制に慣らされ、抵抗を諦めて しまう者もいるだろう。

交通の発達している東京で自宅がある学生まで寮に入れるのは強引である。

世の中には子供を育てる資格がないと思われる親もいて事件をおこしたり している。だから亀井の心配も分からないではない。だが、亀井のいう方法で 問題が解決できるとは思えない。必要なのはもっと別のことだと思う。

朝日新聞[40]に1946年頃の全寮制の農業専門学校の 様子について投書がある。アメリカの占領下にもかかわらず国粋主義教育 が行われて、毎朝、宮城遥拝、国旗掲揚、万歳…が行われたという。 その一方では、管理者は学生が農作業で作った農作物を闇市に流出していたらしいという。

(追記;2005/2/10)2004年4月から、東京未来塾(高校生)、 教師養成塾(大学生)という形で先行して動物農場の世界に突入している[48]。

●都教委は07年度にすべての都立高校で「奉仕体験活動」を 必修教科にするという(朝日新聞、2004年11月11日)。

他人に強制された労働は懲罰である。 ボランティアの練習や、社会体験の類だと誤解している人が多いようだが 全員に強制することと「奉仕」という言葉を使うのには隠された意図がある。

彼らが望んでいるのは、国家権力を背景にした支配層の命令に従い、 彼らに奉仕する自発的奴隷人間である。これを彼等は『垂直倫理』などと 言っている[29]。敗戦前は『滅私奉公』と言っていたのである。

失敗したシステムであるにもかかわらず、敗戦前の日本の体制を理想像とする彼ら の言論をみれば、階層化した全体主義国家を作りたいと望んでいるとしか思えない。 そのための地ならしである。自分達は支配層であり続けて、命令する安全地帯に いると思いこんでいるのだろう。

抵抗があるだろうから、すんなり彼らの望みが実現するとは思わない。 だが、都立大の廃止や養護学校・都立高校の教員の処分に見るように、 多くの被害者がでるだろう。高校生は尾崎豊の歌のフレーズを実感する ことになるかもしれない。

●首都大学東京では、「科目登録委員会」なるものにより教育内容の検閲がされる 可能性がある[47]。検閲体制の整備は都立高校で既に進行している[48]。

永野:2003年度の二学期以後、都立学校の現場では、週ごとの学習指導案、「週案」 の提出が義務づけられ、毎週、どんな授業でどんなプリントを使うかということまで 管理・監督されるということになりました。

青木:「週案」やプリント類を出しなさいと言われるわけです。いったん、これらが 提出される体制ができあがってしまうと、これからは何でもできてしまうのです。 …例えば、何月何日の誰の授業を見せろ、というわけです。…授業の検閲をこれから 教育委員会がやろうと思えばできる体制がつくられたのです。

斎藤:…連絡会で鳥海(教育委員)が言ったことが新聞にはものすごくおとなしく書いて ありました。「…改革に反対する奴は徹底的に潰さなくてはならない」と発言した のですよね。まるでスターリンの粛清ではないですか。

青木:教育内容に対する全面的な管理・統制であって、教育内容を勅令で決めた 戦前の勅令主義の復活だと思いますね。

●週刊金曜日(2006年5月12日)の鎌田慧による記事によると、 千代田区の中学校の増田都子教諭は日本の戦争責任などについて 生徒の意見をまとめたプリントをもとに行なった授業が理由で、「研修センター」 (実態はいじめによる転向強要施設)に送られ、2006年3月に分限免職にされた。

●東京新聞(2006年3月24日)によれば、都教委は「学校支援センター」なる 組織をつくり高校の監視・管理を強化する。 チームで学校を巡回して授業や職員会議を傍聴するという。

●毎日新聞(2006年4月14日)によれば、都教育庁は、 職員会議で教職員による「挙手」や「採決」を行なってはならないとする 通知を4月13日に都立高校など263校の都立学校長に出した。

命令すればなんでも出来ると考えるような幼稚で粗暴な精神の持主が、東京都の 教育を支配している。

●佐藤学の「教育の現在、そして未来に向けて」(現代思想、2009年4月)によれば、

国際調査でPISA調査とかTIMSSとかの調査がありますが、ランキングしか発表されません。実は政策や行政の調査もありまして、日本における学校の自立性、教師の自由は、調査参加国中で最低です。日本の学校政策は最も官僚主義の強い国になっています。
人事考課制度などで教師への締め付けを強めたら、官僚主義になるのは当たり前だ。官僚主義は教育には不適切であることは誰でも分かるだろう。石原慎太郎などがやりたいのは教育ではなく支配なのだ。官僚批判しているように見える石原慎太郎だが、実態は学校の官僚主義の強化なのだ。

(追記;2011/6/6)東京都の小学校校長の官僚意識を示す発言が 週刊金曜日(2011年4月29日)の北原みのりのコラムにあった。原発事故で水道の 汚染が問題になったときに、校長が水筒持参を断固として認めなかったという。 なぜなら「水筒を認めることは、東京の水が汚染されていることを認めることになる」 から。親たちが詰め寄るとこうも言ったそうだ。「私の立場が許さない」

●週刊現代(2003年7月5日)に石原慎太郎へのインタビュー記事がある。

僕は京都大学でフランス文学をやるつもりで、中学高校と自分でフランス語を 勉強してたんですよ。それでリラダンとかのフランス文学を翻訳したりして いました。(略)

結局、大学は京都大学をやめて一橋に進んだ。親父が死んで家計が破綻したので、 稼ぎのいい公認会計士になろと思ったんです。で、第2外国語は当然フランス語 を選択した。ラクだからね(笑)。

都立大学などを改廃して首都大学東京にする時、仏文専攻を廃止するというので、 関係者から反対の声が上がった。すると2004年10月に石原慎太郎が
「フランス語は数も勘定できない言葉だから国際語として失格」
と発言して、 訴訟騒ぎになった。

これは外から見れば馬鹿馬鹿しいと思う程度のエピソードだが、実は、 こんなところでも石原はヒトラーに似ている。 独裁者になるようなパーソナリティーは同じなんだなあ、と思う。 次の記述はヒトラーに関するネット上の情報から[58]。

ヒトラーは、青年時代はひたすら画家になりたかったという。 1908年から14年間の間だけでおよそ2000枚の絵を描いたそうだ。

彼が若い頃二度受験して二度も落第したウィーン造形美術学校の試験教官は 彼の絵に対して、「オリジナリティーと人間への関心に欠けている。」との 評価を下しているが、ヒトラーの絵の性格を良く伝えるエピソードである。

また、父・アロイスは、アドルフに税官士を継いでもらいたかったらしく、 画家になることを許さなかったようだ。

ヒトラーは権力を持つとヨーロッパ中の絵画を集めていたが 気に入らない絵画は弾圧を受けたり画家は逮捕されたりした。 キルヒナーはナチスにより頽廃的とされて自殺した。 ココシュカもナチスの弾圧を受け国外へ逃亡した。

石原慎太郎が若いときに描いた自画像は、顔面に鉄仮面をつけている。 ヒトラーの絵を「人間への関心が欠けている」と評した試験教官の言葉がぴったり である。斎藤貴男も石原慎太郎を評して「ほかの存在の一切が見えない」と言って いる[62]。

(追記;2006/6/19)毎日新聞(2006年6月18日)が引用している科学技術政策研究所の2006年5月の報告書 によれば数学の論文数は上位から米、仏、独、中、英の順であり、日本は6位だという。

(追記;2013/6/3)NHK教育テレビ(2013年2月27日)によれば、 数学のフィールズ賞の受賞者数(2011年現在)は、アメリカ13、フランス11、ロシア9、 イギリス6、日本3である。

●わたしは現代のような社会で民主制がうまく機能するためには、できるだけ 多くの人がある程度の高い教育を受けねば、 駄目だろうと思っている(均一である必要はないとは思うが)。 石原慎太郎の教育観、社会観の一端をよく示している彼の発言がある[29]。
「義務教育は小学校だけでいい」

(追記)自民党の森派では、教育基本法について、現在の義務教育9年 を削除して、幼児教育から小学校までを義務教育にすることを検討している (東京新聞、2006/3/18)。

●杉並区では『動物農場』化が進んでいる。
週刊金曜日(2007/4/6)の記事より:

山田・区長は1999年、市民派をアピール して初当選したが、その後、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書採択を はじめ、石原都知事に勝るとも劣らないタカ派的言動を続けてきた。 杉並師範館で小学校の教員を独自に採用することもその一つ。 出身母体の松下政経塾路線に賛同する教員を増やそうとする狙いは明らかだ。

杉並区の小学校教師を独自に養成する「杉並師範館」(理事長・山田宏杉並区長) の第一期生20人が、この2007年4月から区内の小学校に配属された。 師範館は山田区長の「私塾」という位置づけで、06年度から毎年30人程度を募集。 区教委と協定書を結んでおり、卒塾生は小学校教員として区に採用される予定だ。 師範館は05年度は2800万円、06年度は4500万円の補助金を区に申請し、受領して いる。補助金の申請請求人と交付支給決定者は、ともに山田区長という構図だ。 授業は区議ですら見学が認められないような閉鎖的状況だという。

なぜ、こんなトンデモナイことが通用しているのだろうか。 たとえば共産党系の市長がこんなことしたら、どれだけマスコミが騒ぐだろうか?

(追記;2007/7/2)『歴史評論』(2007/6)によれば、2000年には、山田区長により 教育委員改選が強行され、『世界日報』(統一協会系)に頻繁に執筆している人物等の右派2人が任命された。

(追記;2010/11/22)杉並区長が交代したためか、「杉並師範館」は来春で解散する ことになった。しかし他の自治体に類似のものが出来ているという(東京新聞、 2010/11/11)。

●都教委は『日の丸・君が代の強制』に反対するビラ配りを見たら、 警察に通報しろと学校に指導しているという。 愚かにも、これを忠実に実行した校長がいて、2005年3月4日、町田市の都立 野津田高校正門前のバスロータリーで ビラを配った2人が「建造物侵入の現行犯」で警察に逮捕された。

裁判所が「建造物侵入ではない」と警察の勾留請求を却下したので3月6日に釈放された。 この事件の経過をきちんと報道した新聞は少ないという[52]。 この場合は裁判所がファシズム暴走の歯止めになったが、 何時もそうであるかどうか心もとない。 強権的な権力者には、お先棒担ぎの迎合がつきものである。


公安警察

●たとえ校長がビラ配りをみて、警察に通報したとしても、 警察が常識のある対応をするなら逮捕されるようなことはありえない。 しかし、公安警察というのは一般人が想像もつかない異様な存在らしい[53]。 新右翼の鈴木邦男は次のように書いている(強調は私による)。
ソ連が崩壊して冷戦が終った後、右翼も先細りで人員も減っていますが、 公安はおそらくこの国で最大の、そして最も危険な “政治党派”であり、最後まで残る “思想集団”でもあるのではないでしょうか。
石原都政になってからの公安の動きは、石原と連携したものだろう。 都立拝島高校では副校長が卒業式の前に「公安が来る」と脅したそうだ[53]。

(追記;2010/11/29)週刊金曜日(2010/11/12)より抜粋:
この数年、『在日特権を許さない市民の会』あるいはそれとメンバーが重複する 『主権回復を目指す会』と称する団体が、各地で暴力行為を伴った排外主義的な活動を 繰り広げています。6月には、映画『ザ・コーヴ』を上映する横浜市の映画館に押しか け、その場で話し合いを呼びかけた鈴木邦男さんに暴行を加える事件が起きました。
 (鈴木邦男)「公安と一体でしたからね。街頭での行動なんか、事前に打ち合せてい る。『目指す会』のリーダーが公安に、誰々を排除しろ、とか、マスコミをどかせろ、 なんて車の中から指令しているほど。横浜の場合、僕はリーダーと討論しようと 近づいたら、公安に止められた」
 (熊川元一)「『在特会』は右翼ではないと言い、市民運動と規定していますね。 でも言っていることは過激で汚い言葉で排外主義を煽る。なのに公安は右翼団体と 自己規定しない限り、そうしたものと見なさない傾向があるようです」
 (鈴木邦男)「僕も、北朝鮮に帰れ、なんて言われました。自分たちに反対する のは全部、朝鮮人なんですよ」
 (熊川元一)「いまや一つのパターンができていて、『産経』など右派メディアが あることないことを書き立てる。そうした題材を新聞では使えないような表現で ネットで書かれる。『在特会』などが抗議活動をし動画で流され、人々の関心を高めて いく」
 (鈴木邦男)「嫌な時代になったもんだね」

●テレビ朝日サンデープロジェクト(2006年3月26日)で公安警察の異常さが 取り上げられた。

イラク問題に関するビラ配りをした市民を逮捕して75日も拘留した事件などを 取り上げた。この事件では警察主導で被害届が出された。実際、被害届は警察が作って 告発者にサインだけさせた。公安警察が背後にいる自作自演の告発・逮捕である。

東京新聞(2006年3月25日)には、都立板橋高校の卒業式で 逮捕・起訴された元教師に関する記事がある。

この元教師は保護者が手持ちぶさたにしている間に、 (日の丸・君が代強制を取り上げた)週刊誌のコピーを配った。 隣の人に回してくれるなど皆さん協力的で混乱などなかったと言う。

この元教師は来賓として式に来ていた。 起訴は威力業務妨害罪だったが、 「都教委と学校長が板橋署に出した被害届は『建造物浸入』だったという」 と話す。

この元教師は組合の闘士などではなく、 「君が代の君が“あなた”だというのなら、私はいいと思う。 君が代も歌いたければ歌えばいいし、歌いたくない人に強制すべき ものでもない」と言う。

2006年3月23日東京地裁で、検察の求刑は懲役8か月だった。家宅捜索まで行なわれた。

私には警察・検察は発狂しているように見える。無理矢理なことを強行すれば 警察・検察は国民の信用を失うということを認識すべきだ。公安警察はプライドが 高いらしいが、そのプライドには外から納得できるような根拠がない。

破壊活動というのは起こりうるので公安のような専門組織はあってもいい。 しかし、その組織が政治性・思想性を持ったり、外部からチェックされる仕組がないのは 民主制を破壊する元である。

政治的なビラ配りをした市民を逮捕するなどという公安警察の暴走は、 人間の身体に例えれば、免疫システムが癌化したようなもので命にかかわる病と 言うべきだ。国家にとって有害である。

白血病なら異常を起こした造血幹細胞を殺して、骨髄移植するべきところだ。 日本という国についてそれが必要な事態である。果たしてできるかどうか?


新自由主義風

●豊かな階層と貧しい階層に2極化して、それの固定化へ向かっている日本で、 本当に都民に必要な大学の条件の一つは都会に集まる経済的弱者への 高等教育の保障である。 ところが石原慎太郎は都立大学にあった夜間課程を廃止してしまった。 逆方向である。

定時制高校なども多数が廃止されてしまった。高校の統廃合が進み、 いっぽうでは教育条件が確実に改善する少人数教育は進まない。

(追記;2010/9/6) 今春、どこにも行き場のない新卒者が、都内各地の中学校で続出した。 90年代半ばから東京再集中と呼ばれる人口増加が続いていた。にもかかわらず都教委 は、全日制は微調整にとどめ、定時制は大規模に統廃合を強行した(週刊金曜日、 2010/8/20)。

●東京都の財政が逼迫しているのが原因で様々な都の機関がリストラされているのは 本当のようである。 だが石原慎太郎の高校・大学改革は財政問題からではない。 中曽根康弘との対談などを読むと、知事選に出る前から教育問題が石原たちの 主要な関心であったらしい[29]。

都幹部OBによれば財政難が問題なら『総予算を削って後は大学に任せればいいだけ の話』だという[22]。

首都大学東京大学の学長になる西澤潤一は、 基礎的研究は国立大学にまかせて公立大学にはどう地域の役に立つか という視点が必要だ、と述べている[32]。

川勝平太(国際日本文化研究センター教授)は都立大学の改革のための専門委員 であるが、『大学教育は国家に頼らなくても民間で賄える』、 『都立の大学は地域のためのシンクタンクへ』と述べている[23]。

何でも民間でできるとか、独立採算がいいというのは幻想である。 かつて、林野庁が独立採算になったときに貴重な森林が破壊されてしまったのと 同じような結果に終るだろう。

私立大学と国立大学の理学部の学科構成や研究分野の構成・量を比較してみたらいい。 商売にならなくても重要な学問があることが、なぜ分からないのだろう。

国立大学は国立大学法人になって効率が問題にされ、基礎的研究が疎かに されるのではないかと心配されている[33]。

私立大学、国立大学はたくさんあるが、全てが研究者を養成できる大学ではない。 実は、それらの大学には都立大学で養成された教員、研究者が沢山いるのである。 その50年間続いて来た基礎研究の機能が破壊されようとしている。

(追記;2006/1/17)耐震偽装マンション事件での確認検査機関の民営化に関連して、 石原慎太郎が、「何でも民営化という考えは間違いだ」と発言した(2006年1月13日)。 自分達の言動は棚に上げて、羽のように軽い発言である。

(追記;2009/6/2、7/16)川勝平太は今西錦司の本を読んで、マルクス主義から脱した という。今西は1930年代の日本の全体論的哲学を援用して生物社会の理論を作った。 そして今西は進化における競争の役割を否定していた。今西を讃美するにもかかわらず、 川勝平太は、権力が競争を重視する新自由主義的であるときには、ここに紹介したように 、それに寄りそった発言をした。橋本内閣の時には「美しい国土の創造」という副題を もつ土建政治的な五全総を讃美していた。小渕内閣ではブレーンであった。安部内閣では 「美しい国」という国家目標に同調して、教育再生会議のメンバーになった。 「新しい歴史教科書をつくる会」の賛同者リストに名前があった。7月に民主党、社民党、 国民新党の推薦により静岡県知事に当選した。TBSラジオ(7/6)のインタビューに答えて、 「保守の王国と言われた静岡県ですら、多くの人々が新しい風、変革を望まれていると いうこと」と勝因を語った。民主党を前面に出す戦略が功を奏し支持を拡大したと 東京新聞(7/6)は書いている。自民党の評判が急落して、政権交代が近いと見るや、 自分自身が自民党政権べったりであったことを忘れたような発言である。

(追記;2010/9/13)産経新聞(2010年9月5日)の多摩欄には「一都4県 週刊知事」という知事の動静を載せた連載がある。多摩で4県というのも変だが、取り上げられている知事は、石原慎太郎(東京)、松沢成文(神奈川)、森田健作(千葉)、上田清司(埼玉)、川勝平太(静岡)である。トンデモ新聞が好むトンデモ知事たち。川勝は民主党を前面に出して当選したわけだが、立ち位置がどこであるかよく分かる。

(追記;2010/3/1)『週刊金曜日、2010年2月19日』(永尾俊彦「病院も売り 飛ばす石原都政」)より:

徳州会病院を経営する徳田虎雄氏との対談で、石原知事は 「民営化だかPFIだか知らんけどね、どこかどうしようもない都立病院をみつけて きて、徳州会に任すかな(笑)」と述べている。徳田氏が「医療、福祉、教育まで すべて民営でいいんじゃないですか」と問うと、「そうです。 競争原理が働くんだから」と答えた(『新潮45』99年12月号)。

●NHK総合テレビのクローズアップ現代(2006年11月22日)で 公立小中学校の学校選択制が取り上げられていた。 東京都では6年前から積極的に導入されている。 競争原理で学校をよくするというつもりらしい。 しかし、これを始めた者は競争についても人間についても理解が浅薄である。

学校は工業製品じゃない。需要が2倍になれば同じものが2倍用意できるわけじゃない。 2倍の需要を受けいれたら2倍混み合うだけだ。もう同じ学校ではない。 といって、定員を制限すれば自由に選べるという前提が崩れる。

しかも学校を選ぶ基準は正当な評価の結果とは言えず、皆がいく学校だから行く、 皆が行かない学校だから行かないという集団心理が主要なものである。 結果として過密学校と過疎学校に分離して、過疎学校は統廃合されてしまう。 廃校は地域社会の破壊にもつながる。

そして、佐藤学の解説によると、欧米に比べて日本は元もと学校規模が大きすぎる のだ。欧米では小学校は多くても150人の規模だが、東京都では150人以下になると 統廃合される。国際学力テストNo.1のフィンランドでは60人、70人の学校が 当たり前だという。

●経済的に可能なら今は都立高校への進学はやめておいたほうがいい。 国立大学の国立大学法人化には問題があるので、 将来、自然科学系の研究者になりたい人は可能なら海外のまともな大学・大学院への 留学・就職も考慮したほうがいいだろう。

(追記) 国立大学の法人化で交付金が減らされて、人員削減の検討・決定が進行しているという。 しかし、日本は元もと高等教育への公財政支出が先進国の中では最低レベルだった。 経済協力開発機構(OECD)中で比較したGDP比の高等教育に対する支出が極端に 少ない。デンマーク、フィンランドの1/4以下、米国の1/3以下、 英国の半分程度だという(東京新聞、2006年11月11日)。

(追記) OECDの発表によれば、 2006年の中国の研究開発費が1360億ドル(15兆7千億円)に達し、 約1300億ドルの日本を上まわる見通し。 中国は米国の3300億ドルに次ぐ世界第2位になる(東京新聞、2006年12月5日)。

(追記) 『科学』(2007年5月号/岩波書店)の特集で国立大学法人化の問題点が挙げられている。 カリフォルニア大学のある学部長は、二十数年前のカリフォルニア大学の組織改革の結果を照し合せ、日本の国立大学の法人化は失敗すると断言した。外部からの資金に依存する体制では、長期的な見通しでの研究や教育は困難である。業績評価も短期的にならざるを得ない。「カリフォルニア大学では28名のノーベル賞受賞者がいるが、受賞時点でアメリカ国籍は11名である」。つまり、ノーベル賞級の研究業績は多くはヨーロッパに依存している。

(追記) 東京新聞(2009年5月5日)の「本音のコラム」で鎌田慧は、 「フランスで暮らしている娘は同国では外国人なのだが、公立の大学に留学中は授業料 はなかったし、家賃の援助まで受けていた」と書いている。

(追記) 朝日新聞(2009年9月7日)によれば、学術情報会社のエルゼビア・ジャパンは、引用された回数などから算出した科学系論文の質を調査した。日本の論文の質を示す指標は最近10年で、4位から9位まで落ちた。論文数も07年から減少に転じている。「国立大学の法人化で雑務に追われて、研究時間が減ったことが影響しているのではないか」(エルゼビア・ジャパン代表取締役)


右翼モドキ

●このページの副題に右翼と左翼の精神構造が似ていると書いた。 実は、右翼的・民族主義的・国家主義的な言論を繰り広げている人びとの中に かなり多数の元・左翼がいるらしい。 人びとを支配、教化する対象とみなす傲慢な支配者意識や独善性は右でも左でも 変わらないということか。

戦前にも、左から右に突っ走った人がいたという[31]。 そして、はじめから右翼だった人より活動的で、 左翼の戦術を右翼に持ちこむから一層恐ろしいとされていたという。

●イデオロギー過剰なために、めくらましに弱くて、 間が抜けていることでも、左翼と右翼はよく似ている。

例えば、 北朝鮮は専制君主制とでもいうべき国家であるにも拘わらず、 社会党・社民党は、名目だけで北朝鮮を社会主義の仲間だと思い込み、 拉致事件がデッチアゲなどと言っていた。

同様に、 統一協会が反共というだけで、犯罪的組織であるにも拘わらず、 右翼・保守は、うまく乗せられて性教育を批判したり、統一協会の教義を 教育基本法改正案に取り入れようとしていることに気がつかない。

●この国の右翼はとてもイカガワシイ。 暴力団そのものであったり、元左翼であったり、外国のカルト宗教の影響下に あったり、呆れるばかりである。

私がもし民族主義的な右翼であったなら、 犯罪的な外国のカルト宗教が、国家権力にこれほど食いこんでいることに、我慢は できないだろう。もしかしたら、“右翼”はいてもナショナリストはいないのだろうか。

(追記;2006/2/25)1984年に、右翼が統一協会・勝共連合を反日的反皇的と批判 しかけたことがあった。しかし、その後、右翼からの勝共批判がなくなった理由を 松田博文が書いている[54]。それによれば、統一協会は右翼からの批判の根幹に、 勝共からの資金供与の要請があることを見抜いて人員や金を右翼・暴力団に提供した という。

●オウム真理教の実態が明らかになってきたときに、 敗戦前の日本と似ていると指摘した人は何人もいた。

オウム信者に高学歴の人間がいるのが不思議だとも言われた。 事件が明らかになったにも拘わらず、グループに残っている人間がいたり、 あたらしく加入していく人間もいる。 こういう点についても、日本の社会全体と似ているようである。

教育・洗脳が強烈だったのかもしれないし、 同調や服従に関係する人類の心理的特性の欠陥なのかもしれない。

統一協会は、見えにくい形で国家権力に食いこんでいるので、 オウム真理教よりも危険である。

●憂国論が華々しい現在、石原慎太郎や右派学者の問題意識に同感する人も いるかもしれない。しかし、彼等の処方箋が妥当かどうかは別の話である。

また石原慎太郎の一部の政策に賛成する人もいるかもしれない。 だが、全体の方向がどこに向いているか見るべきである。 ヒトラーも経済政策で成功して人気を得たことを忘れるべきではない。



参考:統一協会の影

■たまたま見た産経新聞(2004年3月1日)には連携した記事があった。

先ず意見広告である。土屋たかゆき(民主党)、古賀俊昭(自民党)、 田代ひろし(自民党)が出したものである。 国旗・国歌を入学や卒業の式で起立斉唱させるべきだと都教育委員会の通達がでた。 それに従わない教員が処分されて裁判に訴えた。それを批判する意見広告である。

自民党にも民主党にもこのような政治家が所属しているのが欝陶しい。 自民党も民主党も党内から極論者を排除するべきなのだが、無理だろう。 これらの政党には右傾化に危機感を持つ政治家はいないのだろうか。 『アホでマヌケなアメリカ白人』(マイケル・ムーア) によればアメリカの民主党と共和党も似たようなもんで駄目らしい。

意見広告の他には、高橋史朗は教育基本法で伝統の尊重をすべきだ、 と書いているし、林道義は学校の性教育とジェンダーフリーを批判しているし、 産経抄はジェンダーフリー教育が国を危うくすると批判している。

※追記:土屋たかゆきは2009年、党批判をきっかけに民主党を除名になった。

■東京新聞(2004年12月7日)によれば、埼玉県知事の上田清司が 『新しい歴史教科書をつくる会』の前会長の高橋史朗に埼玉県教委就任を 要請したという。

高橋史朗は統一協会に関係して、『新しい教育基本法を求める会』の 事務局長でもあった。 『つくる会』のほうも以前は理事や副会長だった。こういう対応関係を見ると、 この手の運動の主体がどこであったのか透けて見える感じがする。

駄目政治家を取り換えたつもりでも、次もまた駄目政治家という政治状況には救いがない。

(追記;2006/7/8)産経新聞(2006年5月29日)はネット上で「君が代」の替え歌が 流布していることを取り上げ「皇室に対する敬慕とはかけ離れた内容」と批判している。 高橋史朗による面従腹背という批判コメントもある。強制すれば面従腹背になるのは当然だ。 私は産経新聞が取り上げた替え歌よりも、「君」を「民」に変えた替え歌のほうが 「反・君が代」の意味が民主主義を守るためであると明示するので良いと思っている。

(追記;2006/7/7)埼玉県戸田市の伊藤良一教育長が2006年6月13日の市議会 で、同市立小中学校の卒業式や入学式の「君が代」斉唱の際に起立しない来賓や保護者に ついて「はらわたが煮えくりかえる」と答弁、調査する方針を示していたことが分かった (東京新聞、2006年6月20日)。

(追記;2006/7/7)集団同調傾向の強い日本で、皆が起立する中で、 それをしないというのには覚悟が必要である。民主主義に反する「君が代」の 強制に反対して、全体主義に抵抗する人達こそが真の愛国者だと私は思う。

(追記;2006/7/14)東京新聞(2006年7月14日)によれば、 上田清司(埼玉県知事)が統一教会系の関連団体に祝電を打っていたことが明らかになった。

(追記;2006/11/11)週刊金曜日(2006/05/12)によれば、 高橋史朗は東京都の男女平等参画審議会委員にも入った。

(追記;2007/5/3)教育再生会議は今月17日、第2分科会(規範意識)が、親にあるべき姿を教える「親学」を提起。首相に近い八木秀次は「国民1人1人が日本をもっと良くするための精神的な運動をやろうということじゃないか」と指摘、「国家の根幹、国民意識の基本にかかわる問題について、政府として取り組み始めたということだろう」と話した(毎日新聞、2007/04/21)。5月1日のTBSテレビに高橋史朗が『親学会』副会長として出ていた。

(関連記事1;2010/8/3)自治体や民間団体主催の「親学」講座が全国で開かれている。 06年に教育基本法が改正され、家庭教育への保護者や行政の責務が明記されたのが きっかけだ。(東京新聞、2010/7/24)

(関連記事2;2010/11/8)2006年に埼玉県に「親学推進協会」が設立され(現在は千代田区 に移転)各地で講座やフォーラムを開催。「親学アドバイザー」の認定なども行なって いる。千葉県が10年度の教育推進振興基本計画に親学推進を盛り込んでいる。関連書籍 をめくると、性別役割分担を強調した記述が頻出。家父長制や国家神道を想起させる 記述が並んでいる。親学推進協会を立ち上げたのは、高橋史朗。1999年から04年まで 「新しい歴史教科書をつくる会」の副会長を務めていた人物で、国際勝共連合が作成した ビデオに出演するなど、右翼団体とのつながりも深い。…千葉県への親学導入は、 森田健作知事による規定路線だったことがうかがえる。他の自治体のケースでも、 市長や知事の権限によって強引に進められている例がすくないない。アプローチも 巧みで、「脳科学」という言葉を用い、科学的根拠に基づくような書き方をしたり (実態は脳科学者や文部科学省によって警鐘が鳴らされている"神経神話"ばかり)、 著名な書籍のノウハウを表面的に取り入れカムフラージュしている。今日では 発達障害は、脳内の物理的要因によって起こるものを指すのが一般的だが、親学では 「乳幼児期の教育の問題」として扱い、…「発達障害は親のしつけが悪いから」という 旧来の誤解が再燃し、障害児を持つ親を追いつめ、障害者排除につながることに なりかねない。(週刊金曜日、2010/10/15)

(関連記事3;2012/7/16)維新の会が大阪市議会の5月定例会に『家庭教育支援 条例案』なるものを議員提案しようとしたことが問題になった。その内容が 流出したら「発達障害、虐待等の予防・防止の基本」として「伝統的子育てによって 発達障害は予防できる」などとしていたことが分かった。それに対して発達障害を 親の子育てによるとする妄想に批判が高まった。維新の会の代表の橋下市長は、 自分は条例案にかかわっていないと逃げの姿勢を打ち出した。条例案作りに際して 「資料を提供した」とされる親学推進協会・高橋史朗理事長が緊急声明を出し、 「全体を葬り去ることは禍根を残す」と仕切り直しに意欲を見せた。 高橋理事長は「親守詩(子が親を思って作る詩)」なるものを提唱している。 条例案には「親守詩実行委員会設立」の文言もあった。(週刊金曜日、2012/6/29)
(※日本の伝統的子育てに親守詩なんてあったか?)

(関連記事4;2012/8/13)新聞の書評[70]に藤原辰史の 『ナチスのキッチン』(水声社)が取り上げられていた。それによると; ナチスは「母親学校」を設立し、料理や育児、看護、空襲への対応などを教えた。 就職しない25歳までの女性は、最低1年、農家などで家事を手伝い、母になる訓練を 受ける義務が課された。主婦の指導には、「マイスター主婦」が当たった。 5年以上の家事経験者で、2年間の修養を積み、テストに合格した人である。 兵士のように等級をつけて、主婦を奮い立たせたのである。

(追記;2007/8/9)週刊金曜日(2007/07/27)によれば、高橋史朗が仙台市の男女共同参画推進審議会委員に。なお、梅原克彦仙台市長は「男女共学導入は宮城県の教育史に残る汚点」と発言している人物である。

■TBSラジオ(2004年12月7日)でアメリカ在住の映画評論家の町山智浩が 最近アメリカで公開された伝記映画の『キンゼイ』について紹介していた。 この映画の公開にはキリスト教原理主義者が反対して映画館にピケを張ったりしたという。

昆虫学者キンゼイはキリスト教の純潔教育で育ったために結婚しても セックスの方法が分からなかった。それがキッカケでアメリカ人の性行動について 調査して有名な『キンゼイ報告』を発表した。第二次大戦直後のことである。

これに反発したのがキリスト教原理主義者たちである。キンゼイに対する攻撃が 行なわれた。その中心が赤狩で有名な政治家マッカーシーであった。 キンゼイを共産主義者だと言って攻撃した。

今の日本の右翼による性教育批判には季節はずれのマッカーシズムという側面が ありそうである。

蛇足:昆虫学者と言えば日本では昆虫記のファーブルが有名であるが、 ファーブルも植物の受精を教育したことでキリスト教会から攻撃されて 教職を辞めたのである。

■先進国のなかで日本だけエイズ感染が増加しているという。統一協会や 右翼の主張する純潔教育という名前の反教育ではエイズ蔓延は防げないだろう。 性教育ではセックスのリスクやリスクの回避方法を具体的に教える必要がある。

またオスとメスの行動生態学・進化生態学的な知識の教育も有用だろう。 たとえばオスとメスが相補的である一方で利害が対立することがあることを教えるべきだ。 オスはメスに振られるのが普通であり恥ではないことも教えておけばストーカー殺人も 減るかもしれない。

根拠の曖昧な宗教的な善悪による性行動の抑制ではなく、根拠の明白な損得のほうが 説得力があるだろう。

その上で、マスメディアに流れる性情報が偏っている可能性を疑う能力をつけるべきだ。 男性の消費者を対象として偏った情報が多いことや、マスメディアに都合のいいような 特殊な事象が一般であるように取りあげられることが多いことなど、 ものごとの原理原則を繰り返し説明すればいいのである。

そうすれば、純潔のためという名目で右翼・統一協会と一緒にメディア統制を 進める必要はないのだ。

(補足)過激派フェミニズム論者はポルノを性犯罪の教科書と断言している。 日本共産党も『赤旗』で純潔こそが健全なる青少年を育むと主張して、 ポルノなどをブルジョワ的退廃だと批判していたという。

一方で、自民党の「過激な性教育実態調査プロジェクトチーム」 (座長・安倍晋三、事務局長・山谷えり子)の シンポジウムでは八木秀次などが、性教育はマルクス主義であり、 フリーセックスを理想とする教育思想がある、と主張していたらしい。

性という耳目をひく問題を取りあげ、自分の敵のせいだと主張する方法 において、これらの右翼と左翼は同類である。

(追記;2006/6/19)写真週刊誌『フラッシュ』(2006年7月4日号)に 安倍晋三と統一協会の関係が報道されている。

(追記;2007/8/10)『バックラッシュ!』双風舍(2006年)という本では、 自民党の「過激な性教育実態調査プロジェクトチーム」で行なわれたアンケート のウソを荻上チキが分析している。

(追記;2013/6/3)学校の性教育が過激だと批判していた自民党の山谷えり子が、 性教育をする年令の基準について質問されて「本当は結婚してからだと思います」 と答えた[72]。これだけ極端な思想を持っているならば、どんな性教育でも 過激に見えるだろう。

■NHK国際ニュース(2005年3月31日ネット版)によると、ウガンダでは アメリカ政府の資金援助で、学校で純潔教育が行なわれるようになり、逆に エイズの正確な情報を伝える性教育が行なわれなくなった。 コンドームは感染予防に役立たないと教えられているという。

アメリカの人権保護団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」の報告書では、こうした教育が、 エイズ感染拡大の抑制に成功してきたウガンダのエイズ対策を阻害する可能性があると アメリカ政府に資金援助のあり方の見直しを求めている。

アメリカの政策の背景には、ブッシュ政権の支持基盤になっているキリスト教保守派の 強い影響があると指摘されている。

報告書をまとめた専門家は、「特定の政治思想が公衆衛生を脅かしている」と厳しく 批判している。

(追記;2006/12/11) 毎日新聞(2006年12月8日)に、米国が外国の人工妊娠中絶に干渉する政策 (グローバルギャグルール)をとっていることや、 米国が外国において禁欲や貞節を強調し、コンドームを奨励しないエイズ救済緊急計画 を行なっていることについて解説がある。

(追記;2007/2/23) 『世界』(2007年3月、岩波書店)によれば、人工妊娠中絶に関して、優性保護法改正案が政治問題になったとき、村上正邦は、改正運動の先頭に立つ生政連(生長の家政治連合)の中心メンバーだった。昭和57年、村上正邦は米国のキリスト教右派に招かれた。

■TBSラジオ(2005年7月12日)で、アメリカ在住の映画評論家の町山智浩が 公共放送(PBS)のドキュメンタリーにたいするブッシュ政権の干渉に関連して、 アメリカの絶対純潔主義教育について報告していた。

テキサスなどでは、キリスト教右派が別団体を作って、学校に入り込み、 政教分離の原則を無視して絶対禁欲主義、絶対純潔主義教育をして、 高校生に結婚までセックスしないという誓いを強制している。

ブッシュ政権はこれに1億7000万ドル補助している。 この教育が行なわれている保守地域では、実際には高校生の妊娠と性病が 増えている。それは、コンドームは役に立たないと教育しているので使わずに やるからだ。絶対純潔主義教育をしても60%くらいは誓いを破ってしまう。

その一方で、教えに忠実な人々は結婚してからも、禁欲主義を続けるか、 子供を産み続けるという異常な世界になっている。

1980年代以後、アメリカの性教育は都市部のセーフセックス教育 (コンドーム配布)と田舎の絶対純潔主義教育に分裂してしまった。 公共放送のドキュメンタリー『シェルビー・ノックスの教育』で 取りあげた少女シェルビーは、友人が妊娠したのをキッカケに、 包括的性教育がよいと主張する。 それは『セックスはしないほうがいいが、しそうになったらコンドームを 使いなさい』というものだ。しかし、彼女は魔女として町を追い出されてしまう。

統一協会はアメリカでも活動しているし、文鮮明はアメリカにいたこともある。 日本の統一協会系右翼に主導された性教育攻撃は平行現象というよりは、 アメリカの宗教勢力と直接的な関係があるのではないか、と想像するのは自然だろう。

■東京新聞(2005年7月15日)によれば、中教審が高校生以下の子どもの性行為を 容認すべきではないとする立場で指導することで一致した(14日)。 具体的な避妊方法の指導をすべきではないことでも一致した。

■追記(2007/3/13)日本の宗教右翼に主導された性教育攻撃がアメリカのキリスト教 原理主義と直接的な関係があるのでないかと、情況証拠を上にならべてきた。 この推測を強化する傍証がある。

アメリカのキリスト教原理主義派は長年、進化を否定して学校教育で創造説を教える ように運動してきた。1987年連邦最高裁は科学の時間に天地創造論を教えることを 憲法違反とする判決をだした。

それに対抗して、キリスト教原理主義派は、進化は「知的存在(インテリジェント)」が 「計画(デザイン)」したという主張(インテリジェント・デザイン)をして、 それを科学的仮説として学校で教えるように運動している(東京新聞2005/10/16)。

このアメリカ特有の運動を、何と、統一協会関連団体が日本でもやっているのである。

創造デザイン学会 〒107-0062 東京都港区南青山6-12-3-903
  世界平和教授アカデ ミー内(http://www.dcsociety.org/)

統一教会がこんなものまでアメリカから持ちこんでいるなら、 日本での性教育バッシングは、アメリカのキリスト教右派がやっている性教育 バッシングに直接的な関係があると推測するのは当然である。

■そもそも統一教会はアメリカの政治勢力とは深い関係がある。
別冊宝島Real, 070『謀略の昭和裏面史』黒井文太郎[編著](2006年)より:

統一教会は韓国人牧師・文鮮明が昭和29年に創始した新興宗教だが、 昭和36年、韓国で朴正煕がクーデターによって政権を奪取した直後から、 情報機関「韓国中央情報部」(KCIA)と協力関係を結び、その庇護を受けて 勢力を急速に拡大した。

戦後ソ連共産党のアジアでの工作活動に対抗すべく、アメリカでも反共団体やCIAが 中心となって、アジアでの反共ネットワークの構築を画策していた。昭和29年には CIAの肝煎りで「アジア人民反共連盟」(APACL)が結成されていたが、昭和40年に 日韓条約が締結されると、その院外団的勢力として、各国の民間右翼団体による ネットワークの結成が模索された。そこで中心的な役割を果たしたのが、韓国では 統一教会、日本では笹川良一だった。

統一教会はKCIAと手を結んだ直後から、崔翅翼(日本名・西川勝)という幹部を 日本に送り込み、「原理運動」を開始した。このとき崔に協力したのが笹川だった が、そこにはおそらくKCIAと米CIA、あるいはアメリカの反共団体の協力要請が あったものと推測される。

笹川は昭和38年に統一教会の顧問となり、支援した。統一教会は笹川の影響力に よって政財官界、とくに自民党と警察組織に浸透したといわれる。

一方、「原理研究会」を組織して若者を勧誘した。昭和37年に立正佼成会の幹部の 久保木修己が統一教会に合流し、昭和39年に会長に就任する。

昭和41年に、統一教会がホストを務めて「世界反共連盟」(WACL)が韓国で結成 された。世界中から反共団体が参加したが、それらは事実上、CIAと米反共団体が 組織していたネットワークだった。

昭和40年代半ばから昭和60年頃まで、WACLの会長を務めたのが、極右軍人の ジョン・シングローブ米退役少将である。

KCIAの公認で、統一教会が「国際勝共連合」を創設したのは、昭和43年1月だった。 日本での組織化の後ろ盾となったのが、またもや笹川良一と岸信介だった。日本 でも、久保木修己を会長とする国際勝共連合が活動を始める。笹川は名誉会長と なった。

昭和53年に米下院国際関係委員会のレポートで、統一教会=勝共連合とKCIAの 深い関係が暴露された。

日本でも日本共産党が統一教会系の政治家のリストを公表した。当時の福田赳夫 首相をはじめ、現職閣僚から16人、自民党議員155人、新自由クラブ議員4人、 民社党議員5人というリストだった。

関係が深いのは、韓国ロビーに近いか、反共右翼色の強い人脈ということになる。 政治家では岸信介、福田赳夫、椎名悦三郎、中曽根康弘、財界人あるいは右翼や 学者では、これらの政治家の周辺にいる面々ということになる。

(追記;2013/3/4) 文鮮明は2012年9月に死去した。自民党の安倍晋三は葬儀に弔意を見せている[71]。

(追記;2015/10/19) 第3次安倍政権に関する記事[73]より抜粋:
統一教会の名前が挙がるのはどういうわけなのか。宗教関係者がこう続ける。 「統一教会は選挙の際に人も票も出すので、自民党議員は重宝している。 統一教会は8月に名称を変更している。これまで話が進まなかったのに、 文化庁が認証したのです」 確かに宗教法人としての名称である世界基督教統一神霊協会を世界平和統一家庭連合 に変更することが、認証されている。 文化庁は文部科学省の外局だが、下村博文前文科相は大臣に就任した12年以降の 2年半に、家庭連合(旧統一教会)と関係が深い世界日報社の月刊誌「ビューポイント」 に3回にわたってインタビュー記事が掲載されている。短期間に3回も登場した大臣は 下村氏のみだ。

■『統一運動・統一教会に賛同する人々(日本)』という、統一教会系WEBページ(http://www.chojin.com/person/jp.htm)には誇らしげに各界の人名がリストされている。このリストには各々が表明した統一教会への賛辞も載せられている。載せるのに適切な賛辞を公表していない賛同者はリストされていないだろうから、他にもいるだろう。また、リストされていても、利用しあっている程度の人から、積極的に関与している人まで様々かもしれない。とはいえ、これほど広範に統一教会が日本に食いこんでいることに危機感をもたないとしたら日本人としての『愛国心』がないんじゃないかと思う。

統一教会系WEBページにリストされている人名(2007年3月時点):

岸信介(元首相)
福田赳夫(元首相)
中曽根康弘(元首相、財団法人世界平和研究所会長)
三塚博(元大蔵大臣、元外務大臣、元運輸大臣、元通産大臣)
松下正寿(元立教大総長、Ph.D、弁護士、元参議院議員、「文鮮明・人と思想」著者)
福田信之(元筑波大学長、理学博士、「文鮮明師と金日成主席」著者)
助野健太郎(聖心女子大名誉教授、元キリスト教史学会常任理事、皇后陛下の恩師)
金山政英(元駐韓国大使、元バチカン代理公使、元日韓文化交流協会会長)
鈴木一(元鈴木貫太郎総理秘書官、元出入国管理庁長官、元宮内庁侍従次長)
三原朝雄(元防衛庁長官、元文部大臣、元総理府総務長官)
加藤武徳(元自治大臣、弁護士、剣道範士・全剣連顧問)
相沢英之(元経済企画庁長官、元自民党税制調査会長、弁護士)
江藤隆美(元総務庁長官、元建設大臣、元運輸大臣)
弘津恭輔(元公安調査庁第一部長、元総理府総務副長官、元警察大学校長)
岡嵜格(元東京地検特捜部長、元法務大臣秘書課長、元大阪高検検事長、弁護士)
景山哲夫(元近畿大学長、経済学博士)
郷司浩平(日本生産性本部名誉会長、元経済同友会代表幹事)
西堀栄三郎(元日本山岳会会長、第一次南極越冬隊隊長、理学博士)
小牧久時(フランス国際大名誉教授、農学博士、平和運動家)
清水馨八郎(千葉大名誉教授、理学博士、「世紀のプロジェクト」著者)
安藤豊禄(元小野田セメント社長)
飯田正一(北大名誉教授・医学博士、薬理学専攻)
池田和義(大阪大名誉教授・理学博士、「神と万有と詩の世界」著者)
石橋一弥(元文部大臣・元自民党憲法調査会長)
伊藤行(鹿児島大名誉教授)
井上茂信(外交評論家・元産経新聞ワシントン支局長、「ゴルバチョフと文鮮明師」著者)
井上順理(鳥取大名誉教授、兵庫教育大名誉教授、文学博士、倫理学専攻)
今井勇之進(東北大名誉教授、元金属博物館長、工学博士)
今村和男(元防衛大教授、システム分析学専攻、国際科学振興財団専務理事)
入江通雅(青山学院大名誉教授、国際政治学専攻、元NHKニュース解説担当)
上前行孝(元宮地鐵工所社長、工学博士)
内田一臣(元海上自衛隊幕僚長、元海将、自衛隊援護協会理事長)
植田利喜造(元筑波大教授、理学博士、生物学専攻)
宇野精一(東大名誉教授、文学博士、スパイ防止法制定促進国民会議議長)
榎一雄(東大名誉教授、文学博士、東洋史専攻、元東洋文庫理事長)
扇谷正造(評論家、元「週刊朝日」編集長)
大鹿譲(大阪工大教授、量子力学専攻)
岡田克己(宮城誠真短大名誉教授)
岡田實(元大阪大学長、工学博士、金属工学専攻)
小方二十世(元日本基督教団・鎌倉教会長老)
加藤栄一(筑波大名誉教授、元自治省参事官)
加藤弘(東大名誉教授、工学博士、船舶工学専攻)
亀岡高夫(元農林水産大臣、元建設大臣)
亀川正東(琉球大名誉教授、文学博士、日本ペンクラブ名誉会員)
河部利夫(東京外大名誉教授、東京国際大名誉教授、文学博士)
気賀健三(慶大名誉教授、経済学博士)
北川石松(元環境庁長官、元衆議院外務委員長)
木屋隆安(元時事通信社・社会部長、中外ニュース主筆)
九嶋勝司(元秋田大学長・名誉教授、東北大名誉教授、医学博士)
工藤重忠(元桐蔭女子短大学長、憲法学会常任理事、法学博士)
黒坂富治(富山大名誉教授、音楽家・作曲家)
伍堂輝雄(JAL=日本航空元会長)
小森義峯(元憲法学会理事長、元国士舘大教授、法学博士、伊勢神宮評議員)
小山福松(元中京大学長、商学専攻)
近藤正栄(神奈川大教授、神学・英文学専攻、「神主義への道」著者)
桜井一(上武大元教授、単立シャローム第一公会牧師)
桜田淳子(女優)
佐々保雄(北大名誉教授、理学博士、地質学専攻、「日韓トンネルプロジェクト」監修)
佐藤正二郎(元広島大教授、音楽家・作曲家、元広島交響楽団常任指揮者)
慈雲(宗教法人妙法山貫首、霊能者、画家、スリランカ国立コロンボ大名誉教授)
東海林孝正(九州共立大教授、経営学専攻)
白井浩司(慶大名誉教授、フランス文学専攻)
菅原喜重郎(元衆議院議員、世界平和超宗教超国家連合共同議長)
杉田一次(元陸上自衛隊幕僚長、日本郷友連盟名誉会長、元東久邇宮内閣秘書官)
杉本儀一(元杉本興業会長)
鈴木瞭五郎(元航空総隊司令官、元空将、元川崎重工顧問)
副島宏(元九州学院大教授、航空工学専攻、F1開発者)
田井友季子(作家・日本ペンクラブ会員、「神の代辯者」著者)
高田源清(九大名誉教授、元西日本短大学長、法学博士、法律学専攻)
高田秀二(元共同通信編集主幹、元日本記者クラブ理事長・名誉会員)
高橋磐郎(筑波大名誉教授、数学専攻)
高橋賞(関東学院大名誉教授・元学長、工学博士、機械工学専攻)
高橋正和(国士館大教授、哲学専攻)
竹田五郎(元統合幕僚会議議長、元川崎重工顧問、軍事評論家)
谷藤正三(元北海道開発庁事務次官、元建設省都市局長、日大教授、工学博士)
田丸徳善(東大名誉教授、元日本宗教学会会長)
近松良之(元筑波大教授、養護施設ひかりの子学園園長)
築山治三郎(京都府立大名誉教授)
徳田敦子(バドミントン元世界チャンピョン、「やっぱりこの人が一番」著者)
中島衛(元科学技術庁長官)
中西武雄(東北大名誉教授、農学博士、農芸化学専攻)
中村信一(日本基督和協教会牧師、画家)
那須聖(外交評論家、元毎日新聞ニューヨーク支局長、「牢獄の救世主」著者)
生田目修(元航空自衛隊幕僚長、元伊藤忠エレクトロニクス顧問、ISC顧問)
西俣昭雄(亜細亜大教授)
西山廣宣(曹洞宗大満寺住職)
二宮信親(元月曜評論社社長、元読売新聞社出版局長、元ラジオ日本・常務取締役)
野間繁(明治大名誉教授)
長谷川太郎(福岡工大元学長、山形大名誉教授、工学博士、電波工学専攻)
服部比佐治(元駐ヴァチカン大使、元駐イスラエル大使、元防衛庁参事官)
濱田敏郎(慶大名誉教授、元日本図書館協会理事長)
林健太郎(元東大学長、元参議院議員、元国際留学生協会会長)
林田隆(元昭和炭酸会長)
一松信(京大名誉教授、理学博士、数学専攻)
福尾券一(名古屋工大名誉教授、理学博士、鉱物学専攻)
福見正子(伏見稲荷大社・因島土生教会長)
法眼晋作(元外務省顧問、元国際協力事業団総裁、元国策研究会長)
細川隆一郎(政治評論家、元毎日新聞編集局長)
堀江正夫(元参議院議員、日本郷友連盟会長、英霊にこたえる会会長)
松井七郎(同志社大名誉教授、元ロックフェラー財団特別研究員、労働法専攻)
松金久知(元陸上自衛隊東北方面総監、元日本製鋼所特別顧問)
峯 弘(メノナイト教会牧師、元釧路短大講師、新自然塾塾長)
箕輪登(元郵政大臣、元衆議院安全保障特別委員会委員長、医学博士)
三村勉(日本ハープ音楽振興会理事長)
三村寛子(スーパー・メディテーション指導家、こども環境教育研究所長)
宮内俊之(元伊藤忠商事理事、元アラビア石油副社長)
武藤宗英(身延山久遠寺・報恩閣住職)
武藤正行(国士舘大客員教授、元海軍兵学校教授、元東和大教授、日本思想史専攻)
両角宗晴(信州大名誉教授、工学博士、機械工学専攻)
山口彦之(東大名誉教授、農学博士、世界平和教授アカデミー代表理事)
山崎仁(横浜商科大教授、関東学院大元副学長、元大蔵事務官、流通経済学専攻)
吉江誠一(元陸上自衛隊幕僚長、元国家国務員共済組合連合会・常任理事)
吉田康彦(元国連本部主任広報官、元NHKジュネーヴ支局長、大阪経済法科大教授)
嘉村祐一(元青山学院大教授)
吉本千禎(北大名誉教授、医学博士、医学工学専攻)
リーガル天才(漫才師、漫才協会・第4代会長)
渡辺久義(京大名誉教授、創造デザイン学会代表、英文学・哲学専攻)



【文献・資料】



[1]シンポジウム:東京都の教育「改革」で、いま起こっていること /主催:「都立の大学を考える都民の会」/2004年2月28日

[2]八雲会報No.80/2000年

[3]日本写真全集10/1987年/小学館

[4]反「人権」宣言/八木秀次/2001年/ちくま新書

[5]週刊ポスト/2004年5月21日/小学館

[6]朝日新聞/2003年11月4日/後藤田正晴

[7]動物農場/ジョージ・オーウェル/1947年

[8]日本よ/石原慎太郎/産経新聞

[9]毎日新聞/2002年6月24日東京朝刊

[10]いま魂の教育/石原慎太郎/2001年

[11]科学/2002年11月号/岩波

[12]読売新聞/2004年3月18日

[13]毎日新聞/2004年2月16日/ネット版

[14]石原慎太郎の値打ち。/別冊宝島Real040/2002年

[15]東京の窓から日本を2/石原慎太郎/2002年/文春ネスコ

[16]朝日新聞/2004年5月25日

[17]新教育基本法6つの提言/西澤潤一編著/2001年/小学館文庫

[18]人間の本性について/E・O・ウィルソン/1978年

[19]神、この人間的なもの/なだいなだ/2002年/岩波新書

[20]週刊金曜日/2004年4月16日

[21]朝日新聞/梅原猛/2004年4月20日

[22]サンデー毎日/2004年2月15日

[23]毎日新聞/川勝平太 /2004年4月11日

[24]世界/2003年7月/岩波書店

[25]東京都の「教育改革」―石原都政でいま、何が起こっているか―/村上義雄/2004年/岩波ブックレット

[26]ソ連における科学と政治/Z・メドヴェジェフ/1980年/みすず書房

[27]毎日新聞/2004年5月30日

[28]現代思想/特集・教育の危機/2004年4月号

[29]永遠なれ、日本/ 中曽根康弘・石原慎太郎/ 2001年/PHP

[30]「御真影」に殉じた教師たち/岩本努/1989年/大月書店

[31]なぜ日本は没落するか/森嶋通夫/1999年/岩波書店

[32]朝日新聞/2004年6月16日

[33]毎日新聞/池内了/2004年6月8日

[34]朝日新聞/社説/2004年5月25日

[35]毎日新聞/2004年5月20日

[36]正論/八木秀次(なぜ石原慎太郎首相は待望されるのか)/2002年10月号/産経新聞社

[37]サッチャー時代のイギリス/森嶋通夫/1988年/岩波新書

[38]東京新聞/2005年9月16日

[39]朝日新聞/2004年6月30日

[40]朝日新聞/2004年6月23日

[41]時代と子どものニーズに応える性教育−統一協会の「新純潔教育」総批判−/浅井春夫編著/1993年/あゆみ出版

[42]筑波大学/降旗節男/1983年/三一書房

[43]タカ派知識人−組織と人脈500人−/青木慧/1983年/汐文社

[44]・http://www.pwpa-j.net/4sekaiheiwakenkyu/index.html

[45]アエラ/1996年10月/朝日新聞社/(週刊金曜日2004年11月26日に引用された記事から)

[46]新学習指導要領をのりこえる/教育科学研究会・山住正己・梅原利夫(編者)/1989年/国土社

[47]都立大学はどうなる/東京都立大学・短期大学教職員組合+新首都圏ネットワーク/2004年/花伝社

[48]検証・東京都の「教育改革」(戒厳令下の教育現場)/柿沼昌芳・永野恒雄(編著)/2004年/批評社

[49]サイエンティストを目指す大学院留学/生田哲/1995年/アルク

[50]徹底検証大学法人化/中井浩一/2004年/中公新書ラクレ

[51]おもしろい親と子の遺伝学/ルーチニク/1981年/東京図書

[52]週刊金曜日/2005年3月18日/山口正紀

[53]週刊金曜日/2005年4月1日/鈴木邦男(右翼を育てている公安の実態)

[54]噂の眞相/1993年8月号/松田博之(政治謀略集団・統一教会系“国際文化財団”の野望)

[55]「ジェンダー」の危機を越える!/若桑みどり、加藤秀一、皆川満寿美、赤石千衣子(編著)/2006年/青弓社

[56]・http://www5f.biglobe.ne.jp/~kokumin-shinbun/

[57]・カルト被害を考える会
霊感商法の実態

[58]・http://homepage3.nifty.com/berkut/seinenjidai.htmほか。

[59]トンデモ本の世界U/と学会/2007年/楽工社

[60]・「都立の大学を考える都民の会」のホームページ

[61]・都立大の危機 FAQ 廃校 or 改革?

[62]石原慎太郎よ、退場せよ!/斎藤貴男・吉田司/2009年/洋泉社

[63]・http://kgsk.nobody.jp/ecpat1.html
「ECPAT/ストップ子ども買春の会」についての基本資料

[64]・東京都青少年健全育成条例改正問題のまとめサイト

[65]東京新聞/松原隆一郎の書評『田中角栄 封じられた資源戦略』(山岡淳一郎)/2009年12月13日

[66]・「非実在青少年」規制:目に見える形で反論を提示する

[67]毎日新聞/2010年4月3日

[68]東京新聞/2010年12月12日/(週刊朝日2010年12月17日号の保坂展人の記事から篠田博之が引用したもの)

[69]週刊金曜日/2010年12月3日/宮本有紀

[70]朝日新聞/2012年7月29日/出来根達郎

[71]週刊金曜日/2013年2月8日/成田俊一

[72]日本テレビ/NNNドキュメント『ニッポンの性教育』/2013年5月12日

[73]週刊朝日/2015年10月23日/「第3次安倍政権支える宗教」


著:佐藤信太郎
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